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特別シリーズ ・ NICHE ZUKAN

ニッチ図鑑

知る人ぞ知る、を
遊んで知る。

香りを「聞く」遊び、ホームの指さし確認、方眼紙に引く列車の線、湯船をもむ板、ラジオの向こうの小さな放送局……。

世の中には、知っている人だけが夢中になっている「本物の世界」がたくさんあります。ここでは15の世界を、はじめての人にもわかるように解説し、それぞれをブラウザゲームにしました。気になったものから読んで、遊んでみてください。解説は公的機関・博物館・大学・百科事典・報道などの資料で確かめて書いています(各ジャンルの「参考にした資料」)。

新ジャンル 01

組香

くみこう

においを「聞いて」あてる、日本の古い遊び。源氏香は答えが52の図になる。

香道(こうどう)は、いい香りのする木(香木)を静かに味わう、日本の芸道です。その中の「組香(くみこう)」は、いくつかの香りを聞いて、同じか違うかなどを当てる遊びです。このゲームの「源氏香(げんじこう)」では、5つの香りを聞き、同じ香りだと思う線を横線でつないで図を作り、その図に付いた『源氏物語』の巻名で答えます。

遊べるゲーム:源氏香 香りの聞きわけ メンバー限定
遊びのタイプ:聞きわけパズル
5つの香炉の音とけむりで香りを「聞き」、同じものをつないで源氏香の図を作る。正解すると52の図と源氏物語の巻名が香図帖に集まる、香道の遊び。

▶ 「源氏香 香りの聞きわけ」で遊ぶ
くわしい解説を読む(組香ってなに?・歴史・本物のやり方・豆知識)

組香ってなに?

香道では、香木(こうぼく)という香りのする木を、小さく薄く切って使います。灰と炭団(たどん)を入れた香炉(こうろ)を用意し、灰の上に「銀葉(ぎんよう)」という雲母(うんも)の薄い板をのせ、そこに香木をおいて、じんわり温めて香りを立てます。線香のように燃やすのではなく、温めて香りを出すしくみです。

この香りを、日本では「嗅ぐ」とは言わず、「聞く」と言います。「聞く」には「理解する」という意味もあり、においをかぐというより、香りに耳をかたむけて、心の中で対話するように向き合う、という考え方です。香木を生きものと考え、魂が宿ると見る説明もあります。

組香は、何種類かの香りを決まりにしたがって聞き、香りが同じか違うかなどを当てる遊びです。和歌や物語などのお題がつき、季節や景色を思いうかべながら楽しみます。勝ち負けよりも、静けさの中で香りを味わうことが大切だとされています。伝わっている組香は約千種、多いと数える説明では二千をこえるともいわれます。

はじまりと歴史(由来)

『日本書紀』には、推古天皇の3年(595年)の夏、淡路島に流れ着いた香木(沈香)が朝廷に献上された、と書かれているといわれます。日本の香りの文化は仏教といっしょに入ってきて、香木がたかれるようになりました。はじめは宗教の儀式で使われました。

平安時代になると、宗教の儀式からはなれて、香りを聞いて楽しむようになりました。貴族は、いろいろな香料をねり合わせて自分だけの香りを作り(薫物・たきもの)、その香りを比べる「薫物合わせ」などの遊びも行われました。

室町時代に、香木の香りを聞きわける香道が、ひとつの芸道としてまとまりました。御家流(おいえりゅう)の祖とされる三条西実隆(さんじょうにし さねたか)と、志野流(しのりゅう)の祖とされる志野宗信(しの そうしん、1443〜1523年)が、将軍・足利義政のもとで名香の整理に関わったと伝えられます。いま続いている流派は、御家流と志野流の2つです。

源氏香は、江戸時代の享保(1716〜1736年)のころに考え出されたと説明されています。『源氏物語』が人気だった時代に、物語の巻名を答えに使う組香として生まれました。江戸時代には、香道が大名だけでなく町の人にも広まり、源氏香も流行しました。

本物の源氏香のやり方(遊び方)

  1. 5種類の香木を、それぞれ5包ずつ、あわせて25包用意します。
  2. 25包をよく混ぜます。香元(こうもと)という進行役が、その中から好きな5包を取り出して使います。どの香りが出るのか、同じか違うかは、お客さんにはわかりません。
  3. 5包を1つずつ順番に焚き(たき)、香炉を客から客へまわします。お客さんは、順に香りを「聞き」ます。これを5回くりかえします。
  4. 聞いた香りをおぼえておき、「この香りとあの香りは同じ」と考えます。
  5. 紙に縦線を5本、右から順に(一番めの香りが右はし)引きます。同じだと思った香りの線の上のほうを、横線でつなぎます。
  6. できた図が答えです。52通りの図には、それぞれ『源氏物語』の巻名が付いています。図に合う巻名(たとえば「柏木」)を、記録の紙に書いて出します。
  7. 正解だと、記録の紙に「玉(ぎょく)」という印が付きます。

このゲームの遊び方

  1. 1回の遊びは5回の勝負です。1回ごとに、5つの香炉が順番にまわってきます。
  2. 本物のにおいのかわりに、「音」と「けむりの形」で香りをあらわしました。同じ香りは、いつも同じ音(3〜4音のメロディー)と、同じけむりです。耳をすませて「聞いて」ください。
  3. 5つ聞き終わると、5本の縦線が出ます。いちばん右が、一番めの香りです。
  4. 同じ香りだと思う線を、順にタップしてつなぎます。つないだ線をもう一度タップすると外れます。
  5. 線の下の「聞く」を押すと、その香りをもう一度聞けます。ただし回数に限りがあり、使わなかった分は点数になります。
  6. 「ていしゅつ」を押すと答え合わせ。あたると、その図と巻名が「香図帖(こうずちょう)」に集まります。52の図を全部あつめるのが、長い目標です。
  7. かんたんは、けむりの色もヒントです。ふつうは、けむりが同じ色で形だけがちがいます。むずかしいは、音だけをたよりに、似たメロディーも聞きわけます。

知るともっと楽しい豆知識

  • 『源氏物語』は全部で54帖(じょう)ありますが、源氏香の図は52こです。いちばん最初の「桐壺(きりつぼ)」と、いちばん最後の「夢浮橋(ゆめのうきはし)」は、図に入っていません。
  • 52という数には理由があります。5つの香りから5回えらんで並べる方法は、単純に数えると3125通りです。でも源氏香では、「どの香りか」ではなく「どれとどれが同じか」だけを数えます。すると、ちょうど52通りになります。数学では、この数を「ベル数」と呼び、5つの場合は52です。名前は、数学者エリック・テンプル・ベルが1930年代に論文でとりあげたことにちなみます。
  • 図は、5つぜんぶ違う「帚木(ははきぎ)」から、5つぜんぶ同じ「手習(てならい)」まで。第2帖から第53帖の順に、ひとつずつ割り当てられています。
  • 図の線は、右から左へ、聞いた順に引きます(いちばん右が1番めの香り)。同じ香りの線の上を、横線でつなぎます。つなぎ方が交わるときは、横線を別々の高さにして、線の長さを調整し、どの線が同じ組かわかるようにします。
  • 源氏香の図は、デザインとしても人気です。着物や帯、重箱などの模様、家紋、焼き物、漆器、染めもの、和菓子などに使われています。
  • 江戸時代の浮世絵にも、帖の名前をあらわす印として、源氏香の図が描かれました。三代歌川豊国(国貞)の『源氏香の図』や、歌川広重の『江戸むらさき名所源氏』などが知られています。
  • 香りを言葉で話すために「五味(ごみ)」があります。辛・甘・酸・鹹(かん=塩からい)・苦の5つで、香りを味にたとえて言いあらわす方法です。このゲームでは、5つの香りに、この5つの名前をつけました。
  • 香木は、産地や質で「六国(りっこく)」という6つに分けられます。伽羅(きゃら)・羅国(らこく)・真那賀(まなか)・真南蛮(まなばん)・寸門陀羅(すもんだら)・佐曽羅(さそら)で、なかでも伽羅は、いちばん上等とされてきました。

ゲームにするときに変えたところ

  • 本物は香木のにおいを聞きますが、においをお届けすることはできないので、音とけむりの形におきかえました。けむりは、香りを目で見てわかりやすくするための工夫で、ほんとうの香りの感じとはちがいます。
  • 本物は一回かぎりの真剣勝負ですが、ゲームでは回数に限りのある「もう一度聞く」ボタンをつけ、はじめての人にもやさしくしました。
  • 本物は25包から5包を引くので、同じ種類がいくつ出るかは毎回運しだいです。ゲームでは、むずかしさに合わせて、1回の勝負に入る香りの種類(最大で、かんたん3・ふつう4・むずかしい5)をととのえています。
  • 本物は紙と筆で書きますが、ゲームではタップで線をつなぎます。図の線の高さのそろえ方は、横線を別々の高さにして線の長さを調整する、という考え方をもとにしていますが、細かいところは流儀や資料によって少しちがうことがあります。
  • 52の図と巻名の組み合わせは、2つの別々の資料の対応表を見くらべて、すべて一致したものを使っています。

見に行く・体験するには

国立国会図書館の電子展示会「源氏物語と源氏絵」では、浮世絵に描かれた源氏香の図についての解説を見ることができます。文化庁の「文化遺産オンライン」には、型紙「源氏香に楓文」など、源氏香の図を使った実物の資料が載っています。香道の体験は、流派(御家流・志野流)の教室や各地の文化施設で行われることがあります。参加する前に、日時や内容は主催者のページで確認しましょう。

用語ミニ辞典

香道(こうどう)
香木の香りを、きまりにしたがって静かに味わう日本の芸道。
聞香(もんこう)
香りを「聞く」こと。香炉を手にのせ、心を向けて、じっくり香りを味わう。
組香(くみこう)
いくつかの香りを聞いて、同じか違うかなどを当てる遊び。お題がつく。
香木(こうぼく)
よい香りのする木。沈香(じんこう)の中でも上等なものを伽羅(きゃら)という。
銀葉(ぎんよう)
雲母(うんも)でできた薄い板。香炉の灰の上におき、その上に香木をのせて温める。
源氏香の図
縦線5本を横線でつないだ図。52通りあり、『源氏物語』の巻名が付いている。
五味(ごみ)
香りを辛・甘・酸・鹹・苦の味にたとえて言いあらわす方法。
六国(りっこく)
香木を産地や質で分けた6つ。伽羅・羅国・真那賀・真南蛮・寸門陀羅・佐曽羅。
巻名(まきな)
『源氏物語』の各帖の名前。桐壺から夢浮橋まで54ある。
玉(ぎょく)
正解のしるしとして、記録の紙に書かれる印。

参考にした資料

※ゲームでは遊びやすくするため、本物とちがう所があります。

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新ジャンル 02

指差喚呼

しさかんこ

指でさして声に出す。日本の鉄道で育った、うっかりをへらす安全のくふう

駅のホームで、駅員さんや運転士さんが、信号や時計を指でさして「出発進行!」「定時!」と声に出しているのを見たことはありませんか。これが指差喚呼(しさかんこ)です。日本の鉄道で育ち、いまは工場や工事現場、病院など、いろいろな職場の安全を守る方法として使われています。

遊べるゲーム:指差喚呼 ホームの安全確認 無料
遊びのタイプ:スピード判断
駅員や運転士が信号を指さして声に出す「指差喚呼」を体験。お題の物をタップで指さし、正しい呼び方を選ぶスピード判断ゲーム。変わる信号やまぎらわしい物の罠に注意。

▶ 「指差喚呼 ホームの安全確認」で遊ぶ
くわしい解説を読む(指差喚呼ってなに?・歴史・本物のやり方・豆知識)

「指差喚呼」ってなに?

指差喚呼(しさかんこ)は、確認したい物を「目で見て」「指でさして」「声に出して」たしかめる方法です。たとえば信号を見て、指でさしながら「出発、進行!」と言う。駅員さんや運転士さんがやっている、あの動きです。

人は、つい「見たつもり」「わかったつもり」をしてしまいます。そこで、目で見るだけでなく、指でさして、さらに声に出して、頭と体をいっしょに使って確認します。実験でも、何もしないときより、指さしと声の両方をしたときのほうが、まちがいが少なくなる結果が出ています(くわしくは「豆知識」で)。

呼び方はいくつかあります。「指差呼称(しさこしょう)」「指差確認」「指差称呼」などとも呼ばれます。厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」では、仕事の前に危険を考える「KY(危険予知)活動」の一部として紹介されています。

はじまりと歴史(由来)

もとは、蒸気機関車が走っていた時代の日本の鉄道で生まれた安全のくふうだと言われています。蒸気機関車には、運転する人(機関士)と、助ける人(機関助士)が乗っていて、信号がどんな状態かを声に出して伝え合っていました。この「声に出して確認する」ことが「喚呼(かんこ)」のはじまりです。

有名な言い伝えがあります。神戸の鉄道の管理局で、目が弱くなってきた機関手が、何度も助手に信号をたしかめてもらっていました。それを見た上の人が「これはいい方法だ」と、決まりにしたというお話です。細かいところは資料によって書き方がちがうので、ひとつの言い伝えとして読んでください。

決まりとして文章になったのは、大正2年(1913年)ごろ。『機関車乗務員教範』という乗務員の教科書に、「喚呼応答」という名前で載ったとされています。

指でさす動作が加わったのは、1920年代の終わりごろ。声に出すだけでなく対象をさすと、確認もれが減ることに現場が気づいたのがきっかけだといいます。そして1970年、当時の国鉄の規程に「信号の喚呼は指さして行うものとする」と書かれました。

いまは鉄道だけでなく、飛行機、建設、工場、電力、バス、病院など、いろいろな職場で使われています。中央労働災害防止協会(中災防)も、効果のある安全のくふうとしてすすめています。

本物の指差喚呼のやり方(遊び方)

おもな流れは、厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」の説明にもとづいています。背すじをのばして、キビキビと行うのがよいとされています。

  1. まず、確認する物をしっかり見ます。(この「見る」がいちばん大事です)
  2. 声に出して物の名前を言いながら、右うでをまっすぐのばし、目をはなさずに人さし指でさします。左手は腰にあてることが多いです。
  3. さした指を右耳のそばへ引きよせながら、「ほんとうに正しいかな?」と頭の中でもう一度たしかめます。
  4. 正しいとわかったら「ヨシ!」と声に出して、右手を物に向けてふり下ろします。

このゲームの遊び方

  1. 画面の上に「お題」が出ます(例:出発信号機)。景色の中からその物を見つけて、指でタップします。パソコンなら矢印キーで選んでEnterキーです。これが「指さし」です。
  2. 指さしたら、すぐ下の3〜4つのボタンから、いまの状態にぴったりの呼び方を選びます。パソコンなら数字キーの1〜4でも選べます。これが「喚呼」です。できれば声に出して言ってみてください。
  3. 正しくて早いほど高得点です。つづけて正解するとコンボがつながります。
  4. ミスになるのは4つです。(1)指さしをわすれて呼ぶ、(2)ちがう物をさす、(3)言いまちがえる、(4)時間切れで見おとす。決まった回数のミスで「運転見合わせ」になります。
  5. ハトや広告看板、お店のランプなど、まぎらわしい物に注意。信号やランプは、指さしたあとに変わることもあります。指さしたあとも、もう一度よく見てから答えましょう。
  6. 全10駅を走りきるとおしまいです。最後の「ヒヤリハット報告」で、どこがあぶなかったかをふり返ります。

知るともっと楽しい豆知識

  • 【実験の結果】1994年に鉄道総合技術研究所が行った実験では、操作ボタンの押しまちがいが、何もしないと2.38%、声だけで1.0%、指さしだけで0.75%、指さしと声の両方で0.38%でした。両方やると、何もしないときの約6分の1です(厚生労働省の資料より)。ただし、これはボタン操作での実験結果で、どんな仕事でも同じになるとは言いきれません。
  • 【信号は「意味」で呼ぶ】信号は色の名前ではなく、意味で呼ぶのが基本です。赤は「停止」、黄は「注意」、青は「進行」。「出発進行!」は『発車するぞ!』という号令ではなく、『出発信号機が進行を示していることを確認しました』という意味です。
  • 【「青信号」は緑?】鉄道の「進行」の信号は、国の技術基準では「緑色灯」と整理されている、と紹介されています。呼び名は「青」でも、公式な色の名前は緑なんですね。
  • 【言い方は会社でちがう】停止位置の確認ひとつでも、「○両停止位置よし!」「○両停止位置、オーライ!」「点灯よし」など、会社によって言い方がちがいます。出発信号機のない簡素な駅では、「出発進行」の代わりに「戸締め・点」「発車・定時」などの確認をする、と紹介されています。
  • 【ほかの仕事でも】工場のプレス機械にはさまれないための確認、金型やバルブの作業、病院で患者さんや薬の名前をたしかめるときなどにも使われています。飛行機でも、客室乗務員が非常口を指さして案内する場面があります。
  • 【世界にも広がった】ニューヨークの地下鉄では1996年から、車掌さんが決まった目印を指さして確認する方法をとっています(日本の方法を見た職員が持ち帰ったとされます)。止まる位置がずれる事故が2年で57%減ったと、運営する機関の広報担当者が話した、とアメリカの記事で紹介されています。ほかにも、台湾やインドネシア、中国などの鉄道が取り入れています。
  • 【くらしでも】出かける前に家の戸じまりを指さして「戸締まり、ヨシ!」と声に出す。これも指差喚呼の考え方で、自治体の広報誌でも日常への応用として紹介されています。
  • 【声が出せない職場では】社会福祉施設のように大きな声を出しにくい職場では、声を出さず、対象にふれるなどの別の方法を使うことがある、と厚生労働省の資料に書かれています。

ゲームにするときに変えたところ

  • 呼び方は、遊びやすさのために選んだ「このゲームでの言い方」です。「出発進行・出発注意・出発停止」「場内進行」「制限○○」「定時」「停止位置よし」などは、公開されている資料にある言い方をもとにしました。いっぽう「戸閉め ヨシ・未点灯」「ホーム 安全ヨシ・危険停止」「停止位置 オーバー・手前」「遅れ」「まだ発車前」などは、ゲームのために作った言葉です。本物の言葉は、会社や路線の決まりが正本です。
  • 本物の確認は、仕事の流れにそって行います。ゲームのように、お題が次々に出てきて、時間に追われることはありません。時間制限・コンボ・点数は、ゲームとして楽しくするための工夫です。
  • 信号やランプが「指さしたあとに急に変わる」しかけは、「指さしたあとも、もう一度見る大切さ」を体験してもらうために足した演出です。本物の現場でよく起きる、という意味ではありません。
  • 本物では、運転士・車掌・駅員で担当する確認がちがいます。ゲームでは「乗務員見習い」が、ぜんぶ1人で行います。駅の名前や景色、時計や標識の見た目も、このゲームのオリジナルです。
  • 本物の指差喚呼では、うでの動かし方や「ヨシ!」の声の出し方も大切ですが、ゲームでは画面のタップとボタンで表しました。声に出して遊ぶと、もっと本物に近づきます。
  • ゲームではミスしても何度でもやり直せますが、本物の現場では、ひとつの見おとしが大きな事故につながることがあります。だから現場の人たちは、毎回ていねいに確認しているのです。

用語ミニ辞典

指差喚呼(しさかんこ)
物を指でさして、名前や状態を声に出して確認すること。指差呼称ともいう。
喚呼(かんこ)
声に出して呼ぶこと。見た物の状態を、声に出して確認する。
現示(げんじ)
信号機が示している状態のこと。赤・黄・緑などの灯の出し方。
出発信号機(しゅっぱつしんごうき)
駅から列車が出発してよいかを知らせる信号機。
場内信号機(じょうないしんごうき)
駅に入ってくる列車に、駅の中へ進んでよいかを知らせる信号機。
ヨシ!
確認できたときの声。指でさして確認したあと、最後に言う。
定時(ていじ)
時刻表どおりの時刻。「発車定時」のように使う。
KY(危険予知)活動
仕事の前に、どんな危険があるかを話し合って、事故を防ぐ取り組み。
中災防(ちゅうさいぼう)
中央労働災害防止協会の略。仕事のけがや病気を防ぐ活動をすすめる団体。
ヒヤリハット
事故にはならなかったけれど、ひやっとした、はっとした出来事。

参考にした資料

※ゲームでは遊びやすくするため、本物とちがう所があります。

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新ジャンル 03

スジ引き

すじひき(ダイヤづくり)

電車の「いつ・どこ」を1枚の図に引く、鉄道の職人わざ

駅の時刻表の元になっている、「ダイヤ」という図を知っていますか。よこに時刻、たてに駅をならべ、列車の動きを1本の斜めの線で書きます。この線を引く仕事が「スジ引き」で、やる人は「スジ屋」とよばれます。ぶつからず、むだなく、みんなが使いやすい線をえらぶ、ちょっと不思議でおくの深い世界です。

遊べるゲーム:単線ダイヤづくり スジ屋の仕事 メンバー限定
遊びのタイプ:線引きパズル
単線で向かい合う列車がぶつからないよう、ダイヤの線を引き直すパズル。駅で待たせて行き違い・追いこしを決める『スジ屋』の仕事を体験。全30路線、短い待ちで★3を目指そう。

▶ 「単線ダイヤづくり スジ屋の仕事」で遊ぶ
くわしい解説を読む(スジ引きってなに?・歴史・本物のやり方・豆知識)

「スジ引き」ってなに?

鉄道の列車は、すべて「列車運行図表」という図にもとづいて走っています。ふだん「ダイヤ」と呼んでいるものです。ダイヤは、いつ、どの駅に、どの列車がいるのかを1まいの図にまとめたものです。

JR西日本の紹介記事では、ダイヤは路線ごとにつくられ、たてに駅、よこに時刻がならぶ図だと説明されています。列車の動きは1本ずつ斜めの線であらわされ、この線を「スジ」と呼びます。古いダイヤの図を紹介するアメリカの解説でも、速い列車ほど線は急な角度になると書かれています。遅い列車は、ゆるやかな線になるわけです。

そして、このスジを1本ずつ引いて、全部の列車がぶつからないように時刻を決めていく仕事が「スジ引き」。やる人を昔から「スジ屋」と呼びます。JR東日本の記事によると、スジ屋は列車運行図表をつくる、輸送計画の担当者の昔ながらの呼び名です。

はじまりと歴史(由来)

ダイヤのような図は、イギリスで考えられたといわれています。日本ではこの図が広く使われるようになったのは、1897年(明治30年)ごろとされています。

古い例としてよく知られているのは、フランスの科学者マレー(1830〜1904)が1878年版の本にのせた、パリとリヨンを結ぶ列車の図です。たて軸に駅(本物の距離に合わせて並べる)、よこ軸に1日の時刻をとり、斜めの線で列車をあらわしました。この図を考えた人は、本の中でイブリーという名前が書かれています。有名な人の名前がついているけれど、じつは別の人が考えたもの、という例としても知られています。

日本の鉄道は、1872年(明治5年)10月14日に新橋〜横浜で始まりました。開業のころは線路が1本の単線で、時刻表をもとに図にしてみると、1日9往復、新橋〜横浜は53分、上り下りの列車は川崎駅で行き違っていたと読み取れます。その後、線路は2本(複線)になっていき、1881年(明治14年)には新橋〜横浜の複線化が完成。1882年(明治15年)には、各駅停車より10分短い45分の急行もはしりはじめました。

ダイヤの形も昔と今で少しちがいます。いまの日本では時刻をよこ軸にとるやり方が主流で、距離をよこ軸にとる反対の形は、明治の中ごろまでの昔の図に見られる程度だといわれます。

本物のスジ引きのやり方(遊び方)

  1. 路線ごとに図をつくります。よこが時刻、たてが駅です。スジ屋さんは、秒単位まで考えて列車の動きを書きこむといわれます。
  2. 駅と駅のあいだを走る時間は「基準運転時分」といい、線路のカーブやスピード制限、車両の性能をもとに決められます。これに駅で止まる時間と少しの余裕を足すと、列車ごとの所要時間が出ます。速い特急のスジは急に、ゆっくりした列車のスジはゆるやかになります。
  3. 単線の区間では、向かい合う列車が同じ線路を使います。だから、線路が2本以上ある駅(交換駅)で待ち合わせて「行き違い」をするように、スジを調整します。ダイヤの図では、行き違う2本の線が駅のところで「×」の形に交わり、「クロス」と呼ばれます。ほかに、別の列車を先に通すために、駅の別の線路に入って待つ「待避」もあります。
  4. 考えることはたくさんあります。列車のスピード、待避する線があるか、駅ごとの乗り降りの時間、乗り換えの接続、運転士や車掌の交代など、いろいろな条件を同時に考えます。
  5. 現場に出かけて、駅の混み具合を自分の目で確かめることもあります。遅れやすい列車があれば、ダイヤの一部を直すこともあります。
  6. できたダイヤは、輸送計画のシステム(コンピューター)に入れて確かめます。ただしシステムは「手伝い」で、コンピューターでは計りきれない部分を組み立てるのは、スジ屋さんの頭と経験だと紹介されています。

このゲームの遊び方

  1. 画面は本物と同じ形の図です。よこが時刻、たてが駅。駅の名前の下の数字は、その駅の線路の本数です。「2線」以上の駅では、2本の列車が同時に入れます。
  2. 上の「ぶつかり」が0になるのが目標です。まず色のついた線(か、下の番号)をタップして、列車をえらびます。
  3. えらんだ列車の線に、白いまるい●が出ます。●をタップすると、その駅で1分待ちます(出発がおくれて、そこから先の線が右にずれます)。●をドラッグすると好きな分だけ、長押しすると1分もどります。
  4. ルールは3つ。①向かい合う2本の線が、駅と駅のあいだで交わってはいけない(正面しょうとつ)。②同じ向きの列車が、駅のあいだで追いこしてはいけない。③駅に同時に入れる列車は、線路の本数まで。ぶつかる所は赤く光ってしらせます(「むずかしい」では運転してから赤く出ます)。
  5. 赤い所がなくなったら ▶運転開始。時計の線が動き、全部の列車が終点に着けばクリアです。待ちの合計が少ないほど ★が増えて、★3が「いちばん短い待ち」です。
  6. キーボードでも遊べます。Tabか数字で列車、↑↓で駅、→で+1分、←で−1分、Enterで運転、Zでもどす、Hでヒントです。

知るともっと楽しい豆知識

  • 「ダイヤ」は、図という意味の「ダイヤグラム(diagram)」を縮めた言葉です。「図がひし形(ダイヤの形)だから」という説は、まちがいだと説明されています。
  • スジ屋のことを、JR東日本の記事は「寿司屋は鮮度、スジ屋は線度」という言い方で紹介しています。時間をたいせつにする職人という意味です。
  • ダイヤ改正は、新しい線や駅ができたとき、列車をふやすとき、新型車両が入るときなどに行われます。いまのJR各社は3月に行うことが多く、国鉄の時代は10月が多かったと説明されています。
  • 単線の区間で行き違いをすると、ダイヤの図では2本の線が「×」の形に交わります。これを「クロス」と呼びます。このゲームでも、行き違いは駅の中でだけできます。
  • JR西日本の紹介記事には、単線の駅で上りと下りの列車が同時に止まると、発車の直前に踏切をわたるお客さんがいて危ない、と考えたスジ屋さんの話がのっています。どちらを先に出すと安全かを現場で考えて、ダイヤを引き直したそうです。
  • 大雨で線路が使えなくなった区間では、復旧までの約3週間、日々変わる運転区間に合わせてダイヤを組み直した、というスジ屋さんの話も紹介されています。
  • 京都支社のスジ屋さんは、最初に引いたダイヤは「原石」で、みんなで磨きをかけて本物のダイヤにしていくものだと話しています。

ゲームにするときに変えたところ

本物のダイヤは、秒単位まで考えて、乗務員の交代、車両のやりくり、乗り換えの接続、混雑まで見て作ります。このゲームでは、遊びやすくするために、とても単純にしています。

・時間は1分きざみです。駅と駅のあいだの走る時間と、駅で止まる時間は、列車の種類ごとに決まった長さにしています。 ・あなたが動かせるのは「駅での待ち時間」だけです。本物は発車時刻や停車する駅、車両の速さなども調整します。 ・駅の間の長さは、すべて同じに描いています。 ・同じ向きの列車は、1分以上あけないと駅に着けないことにしています。 ・信号や、1つの区間に1列車だけを入れる「閉そく」のしくみなど、安全を守る装置は、むずかしくなるので省いてあります。 ・路線名と駅名はすべて、この世にない名前です。実在の鉄道とは関係がありません。

★3の「いちばん短い待ち」は、このゲームのルールの中での最短です。現実の最良のダイヤとは別のものですが、考え方の入り口にはなります。

見に行く・体験するには

埼玉県さいたま市大宮区にある鉄道博物館では、歴史のある実物の車両などを見ることができます。開館日や料金は、公式サイトで確認してください。

鉄道会社によっては、ダイヤ作りをまなぶ講座を開いたこともあります。たとえばJR東日本の新潟支社では、2023年11月に初めて開かれ、2024年5月にも開催されました。開催があるかどうかは、各社の発表を見てください。

時刻表の本やアプリを、「この線はどこで行き違うのかな」と考えながら見てみると、スジの世界がぐっと近くなります。

用語ミニ辞典

ダイヤ(だいや)
列車の運行計画。時刻と駅を軸にした図(ダイヤグラム)を縮めた言い方。
スジ(すじ)
ダイヤの図の中で、列車の動きを表す斜めの線。速い列車ほど急な角度になる。
スジ屋(すじや)
ダイヤを作る、輸送計画の担当者の昔ながらの呼び名。
単線(たんせん)
上りも下りも、1本の線路を使う区間。向かい合う列車は、駅などで待ち合わせて行き違う。
複線(ふくせん)
上りと下りで線路が2本ある区間。どこでもすれ違いができる。
行き違い(いきちがい)
単線で、向かい合う列車が、2本以上の線路がある駅(交換駅)などですれ違うこと。「列車交換」ともいう。
待避(たいひ)
他の列車を先に通すために、別の線路に入って待つこと。
基準運転時分(きじゅんうんてんじぶん)
駅と駅のあいだを走るのに必要な時間。線路のカーブやスピード制限、車両の性能をもとに決められる。
閉そく(へいそく)
線路を区間にわけ、1つの区間には1本の列車しか入れないようにする安全のしくみ。
ダイヤ改正(かいせい)
列車の運行時刻をまとめて見直し、変えること。新しい駅や新型車両のときなどに行う。

参考にした資料

※ゲームでは遊びやすくするため、本物とちがう所があります。

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新ジャンル 04

こぎん刺し

こぎんざし

雪国・津軽の知恵から生まれた、藍と白の幾何学刺しゅう

こぎん刺しは、青森県の津軽地方に伝わる刺しゅう(刺し子)の技です。藍色の麻の布に白い木綿の糸で、布の織り目を数えながら模様を刺していきます。寒さと布の傷みから暮らしを守る知恵が、ふしぎなほど整った模様へと育ちました。

遊べるゲーム:こぎん刺し もようを縫いあげる メンバー限定
遊びのタイプ:推理パズル
津軽の伝統こぎん刺しを遊ぶパズル。藍の布に白い糸を奇数目だけ通し、上下左右の対称から布にかくれた模様を推理して、24の作品を縫いあげよう。

▶ 「こぎん刺し もようを縫いあげる」で遊ぶ
くわしい解説を読む(こぎん刺しってなに?・歴史・本物のやり方・豆知識)

こぎん刺しってなに?

こぎん刺し(こぎんざし)は、青森県の津軽(つがる)地方、弘前市(ひろさきし)を中心とする地域に伝わる刺しゅうです。藍(あい)色に染めた麻(あさ)の布に、白い木綿(もめん)の糸で、ひと針ずつ模様を刺していきます。

いちばんの決まりは「布の縦の織り目を、奇数(1・3・5・7…)の数だけ拾って刺す」ことです。この決まりを守ると、ひし形をもとにした、きちんと整った幾何学(きかがく)模様ができあがります。

模様のもとになる小さな形を「モドコ」と呼びます。津軽のこぎんでは、縦に長いひし形(縦菱形)のモドコが基本で、これを積み重ねたり並べたりして、いろいろな模様を作ります。

いまは青森県の伝統工芸品として知られ、巾着(きんちゃく)、バッグ、ネクタイ、コースターなどに使われています。

はじまりと歴史(由来)

むかしの津軽は、雪が多くて寒い土地です。寒さのために綿花(めんか)の栽培が行われず、木綿の布は手に入りにくいものでした。しかも江戸時代、津軽の農民は木綿の着物を着ることが許されず、麻の着物を何枚も重ねて寒さをしのいでいたと伝えられています。

木綿を制限した決まりは「農家倹約分限令(のうかけんやくぶげんれい)」と呼ばれます。1724年のことと紹介する資料もありますが、年を書いていない資料もあるので、ここでは「江戸時代の決まり」と覚えておきましょう。

麻の布は布目があらく、そのままでは寒さをふせぎにくい布でした。そこで農村の女性たちは、麻の布に木綿の糸を刺して布目を埋め、あたたかく丈夫にしました。これがこぎん刺しのはじまりとされています。この麻の布の暮らしは、津軽では明治の中ごろまで続いたと説明されています。

「こぎん」という言葉は、もともと農民の仕事着をさす言葉でした。地域の女性は7、8歳ごろから刺しはじめ、一人前になると、刺す技を競い合ったとされています。

明治20年代にこぎんは全盛期をむかえたと紹介する資料があります。そのあと、あたたかくて丈夫な木綿の布が手に入るようになると、手間のかかるこぎんの着物は少なくなっていきました。1932年に民藝運動の柳宗悦(やなぎ・むねよし)が雑誌『工藝』で取り上げたことで、あらためて注目されたと紹介されています。

本物のこぎん刺しのやり方(遊び方)

  1. 布を用意する:もともとは、藍色に染めた麻の布を使います。織り目が方眼(ほうがん)のようにそろった布で、縦と横の糸の数を数えながら刺せるのです。いまは木綿やウールの布にも刺されます。
  2. 図案(ずあん)を見ながら、横に糸をわたすように、一段ずつまっすぐ刺し進めます。
  3. 縦糸(たていと)を 1・3・5・7… と、奇数の目の数だけ拾って(すくって)針を通します。
  4. 横糸にそって糸をすくい、段ごとに刺す位置をずらしていくので、ひし形を基本にした模様が少しずつ現れます。
  5. 刺しはじめは玉結びにせず、糸を少し残して始め、終わりも玉止めにせず、裏にわたった糸に数針からめて切ります。
  6. むかしの人は、裏に下絵もなく、頭の中の計算だけで刺していたと言われています。

このゲームの遊び方

  1. 「しるし」をなぞる:布の上のうすい白い帯(しるし)の上を、指(またはマウス)でなぞって糸を刺します。1目だけなら、タップでも刺せます。
  2. 糸は奇数目だけ:1針で刺せるのは 1・3・5・7…目です。2目や4目でなぞると、糸がはじかれます。(本物の「奇数の目を拾う」決まりを、ゲームにしました)
  3. かくれた所を推理:「あて布」でかくれた部分は、模様が上下左右ぴったり対称という性質と、奇数の決まりをヒントに推理して刺します。ヒントボタンを押すと、同じ形のはずの場所が金色の枠で光ります。
  4. 行って戻って:1段目は左から右、2段目は右から左へ。逆むきに引くと糸がもつれるので、画面を3回タップしてほどきます。
  5. 段をしめる:しるしを全部刺すと、自動で糸が引かれて次の段へ進みます。「しめる」ボタンで、合っているか確かめることもできます。まちがえるとほつれて点がへります。
  6. 仕上げ:最後の段まで刺すと、コースター、ふきん、がま口、上着の背中の作品になります。全24作品。集めたモドコは図鑑にのり、自由に刺せる「創作の布」もあります。

知るともっと楽しい豆知識

  • 津軽の「こぎん」は奇数の糸を拾いますが、青森県の東がわ(八戸市を中心とする南部地方)の「菱刺し(ひしざし)」は偶数の糸を拾い、「カタコ」という横長のひし形が基本です。となり合う土地なのに、決まりがちがうのです。
  • モドコは約40種類あるといわれ、名前は身近なものからついています。たとえば「猫の足」「べこ刺し」「馬の轡(くつわ)」「鼠(ねずみ)の歯」「花こ」などです。
  • こぎんは地域で3つに分けて呼ばれます。弘前市の東の「東こぎん」、西の「西こぎん」、北津軽の一部の「三縞(みしま)こぎん」です。三縞こぎんは、前と後ろの身ごろの肩に近い3か所に、横じまを3本ずつ入れることが名前の由来です。明治時代のものが、北津軽郡の金木町を中心とした地域で作られたと文化遺産オンラインに載っています。
  • むかしのこぎんは、裏に下絵もなく、頭の中の数えだけで刺されたとされます。模様を自分らしく選んで刺すことは、農村の女性たちにとって、ひそやかな自己表現の場だったと説明されています。
  • いまは、木綿やウールの布にも刺され、色もさまざまです。破れたズボンの補修や、ワンポイントの刺しゅうとして楽しむ人もいると紹介されています。
  • 弘前市は2019年2月に「ふるさと名物」として13品目を宣言し、その中に津軽こぎん刺しも入っています。(経済産業省 東北経済産業局の資料)

ゲームにするときに変えたところ

  • 本物は、布の織り目をひとつずつ数えて針を通します。ゲームでは、方眼のマス目と指のなぞりに置きかえ、「3目」のように目数を画面に出して遊びやすくしました。
  • 本物のモドコは「縦菱形」の単位模様ですが、このゲームの図案は、本物の模様をそのまま写したものではありません。ルールを楽しく学ぶための、オリジナルのかんたん版です。「猫の足」などの本物の模様名も使っていません。
  • 「模様が上下左右ぴったり対称」「どの段も、白い糸のつながりが奇数目」という決まりは、パズルとして成り立たせるために、このゲームで整えたルールです。資料では、むかしの仕事着のこぎん(古作こぎん)は線対称のひし形の幾何学模様と説明されていますが、上下左右ぴったりとまでは書かれていません。
  • 「なぜ奇数の目を拾うのか」をはっきり書いた資料は、今回しらべた範囲では見つかりませんでした。奇数だと真ん中の目ができるので、左右対称の形が作りやすい、というのはゲームの説明です。
  • 「1段ずつ行って戻る」流れ、逆むきに引くと糸がもつれる決まり、糸の残りの数え方は、ゲームの遊びとして足したものです。資料では、横方向に一段ずつ刺し進めると説明されています。
  • 本物は、かくれた所を推理するのではなく、図案を見ながら刺します。「あて布でかくす」のは、パズルにするための工夫です。

見に行く・体験するには

弘前市(青森県)には、こぎん刺しをつくる工房や、体験できる場所があります。体験の受け付けは時期によって変わるので、青森県、弘前市、東北観光推進機構などの公式ページで、最新の案内を確かめましょう。

本物の作品は、東京のサントリー美術館のコレクションにも「東こぎん 身ごろ」などが収められていて、公式サイトで写真と解説を見ることができます。

用語ミニ辞典

こぎん刺し(こぎんざし)
津軽地方に伝わる刺しゅう。「こぎん」はもともと農民の仕事着をさす言葉。
モドコ
こぎんの基本になる小さな模様。津軽では縦に長いひし形(縦菱形)の単位模様をいう。
奇数(きすう)
1・3・5・7…のように、2で割ると1あまる数。こぎんは奇数の目を拾う。
経糸(たていと)
布の縦にとおっている糸。こぎんは、この糸を奇数本ずつ拾う。
緯糸(よこいと)
布の横にとおっている糸。刺す針目は、この向きに一段ずつ進む。
藍染め(あいぞめ)
藍という植物で布を青く染めること。こぎんの布は濃い藍色。
刺し子(さしこ)
布を糸で細かく刺しつづり、丈夫にしたりかざったりする技。
菱刺し(ひしざし)
南部地方(八戸市中心)の刺し子。偶数の糸を拾い、横長のひし形(カタコ)が基本。
三縞こぎん(みしまこぎん)
北津軽の一部のこぎん。肩に近い3か所に横じまを3本ずつ入れるのが名前の由来。

参考にした資料

※ゲームでは遊びやすくするため、本物とちがう所があります。

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新ジャンル 05

湯もみ

ゆもみ

水を入れずに、板と拍子で熱い温泉を冷ます、草津の昔ながらの知恵

群馬県の草津(くさつ)温泉には、熱すぎるお湯を、水を足さずに冷ます技があります。長い木の板で湯をかきまぜる「湯もみ」です。歌の拍子に合わせて板をそろえて動かす姿は、いまも湯畑(ゆばたけ)のそばのショーで見られます。

遊べるゲーム:湯もみ 板でお湯をさまそう メンバー限定
遊びのタイプ:リズム
草津温泉の「湯もみ」がリズムゲームに。水を足さず、長い板を拍に合わせて動かし、熱い湯をお客さんが入れる温度まで冷まそう。全8湯。

▶ 「湯もみ 板でお湯をさまそう」で遊ぶ
くわしい解説を読む(湯もみってなに?・歴史・本物のやり方・豆知識)

「湯もみ」ってなに?

湯もみ(ゆもみ)は、群馬県の草津温泉に伝わる、お湯の冷まし方です。長さ1.8メートルほどの木の板を湯船に入れて、お湯を大きくかきまぜ、入れる温度まで下げます。

ふつう、熱いお風呂には水を足しますよね。でも草津では水を足しません。水でうすめると、温泉の成分もうすまって、せっかくの効き目が弱くなると考えられてきたからです。板でかきまぜて、空気にふれさせながら、お湯そのものの温度だけを下げます。

草津の源泉(げんせん・地面からわき出たばかりの温泉)はとても熱く、湯畑の源泉は53度ほど、町に入ってくる湯は50度から90度ほどと紹介されています。しかも強い酸性(pH2.1)で、肌にピリッとくるお湯です。そのままでは大人でも入れません。そこで生まれたのが湯もみです。

はじまりと歴史(由来)

草津温泉は、病気やけがを治すために長く泊まる「湯治(とうじ)」の場所として、古くから知られてきました。文献に残る早い例として、室町時代の1472年(文明4年)に、蓮如(れんにょ)というお坊さんが入った、と伝えられています。江戸時代のはじめには、儒学者の林羅山(はやしらざん)が草津をすばらしい湯としてあげ、これが「日本三名泉」のもとになったとされています。

湯もみそのものは、江戸時代に考えられたと紹介されることが多く、お客さんを迎える湯治場で毎日のように行われてきたといわれます。くわしい始まりの年や、だれが考えたかは、はっきりしない部分もあります。

明治時代には、ドイツ人のお医者さんベルツ博士(1876年に来日)が草津の湯を高く評価して、世界に紹介しました。湯畑という名前も、明治20年ごろ、湯の花(ゆのはな)を集めるための木のといを並べたころに広まったとされます。

いま見られる観光の「湯もみと踊り」ショーは、湯畑のそばの熱乃湯(ねつのゆ)で1960年(昭和35年)に始まり、2015年に建物が新しくなりました。

本物の湯もみのやり方

  1. 熱い源泉を、湯船に引きます。
  2. 長さ約1.8メートル(六尺=ろくしゃく)、はば約30センチの板を用意します。
  3. 何人かが湯船のまわりに並び、板の先を湯に入れて、歌の拍子に合わせて左右に動かします。みんなで調子をそろえるために、草津節や湯もみ唄が歌われます。
  4. 板を動かすたびに湯が波立って空気にふれ、少しずつ温度が下がります。水は足さないので、温泉の成分はそのままです。
  5. ちょうどよい温度になったら、湯もみは終わりです。
  6. 時間湯(じかんゆ)という草津ならではの入り方では、まず湯もみで湯を冷まします(20〜30分ほど)。湯もみには、温度を下げるだけでなく、湯の成分を均一にするねらいもあるといわれます。つぎに頭へ湯を何十杯もかけて熱さにならし(かける回数は資料によって差があります)、湯長(ゆちょう)の号令で、3分間いっせいに湯に入ります。

このゲームの遊び方

  1. 画面の下の左右にあるパッドに、輪っか(リング)が近づいてきます。リングがぎゅっと小さくなって、パッドの白い丸にぴったり重なる瞬間に、画面をタップ(キーボードなら←→かSpace)。板が湯をかきます。
  2. ぴったり(「よっ!」)だと冷える量が多く、少しずれる(「はっ」)と冷える量が少なくなります。ずれすぎたり、リングがないところでバラバラにたたくと、ほとんど冷えず、しぶきだけが上がります。
  3. ぴったりを続けるとコンボがのびて、冷える量がアップ。仲間の板がいる湯では、ぴったりが続くと板が「そろい」、さらによく冷えます。
  4. たたきすぎると「うで」のゲージがたまり、いっぱいになると板が重くなって動かせなくなります。リングのない拍で、うでを休ませましょう。
  5. 左の温度計の緑の帯が、お客さんの入りたい温度です。帯に入ったら「そこまで!」ボタン(Enterキーでも)。帯の真ん中の金色に近いほど高得点。冷やしすぎてぬるくなったら失敗、待たせすぎてもお客さんは帰ってしまいます。
  6. 8つの湯を順番に進みます。後半は源泉が熱くなり、途中で熱い湯が足されることもあります。

知るともっと楽しい豆知識

  • 草津温泉は、自然にわき出る温泉の量が日本一といわれ、毎分3万リットルをこえます。場所は標高およそ1200メートルの高原です。
  • 湯畑の源泉は、毎分およそ4000リットルわき出しています。湯畑の名前は、湯の花(温泉の成分が固まった結晶)を集めるために、木の樋(とい)を並べて湯を流したことに由来します。樋を流れる間に、お湯の温度も少し下がります。
  • 時間湯は、48度ほどの熱い湯に3分だけ入る入り方で、江戸時代の終わりから明治のはじめにできたとされます。同じような高温の湯治は、いまでは草津にしか残っていないといわれます。
  • 時間湯を指導する人は「湯長」と呼ばれ、明治時代から数えて8代ほど続いているそうです。
  • 昔の草津は標高1100〜1200mの高原で、冬の寒さがきびしかったため、温泉宿を閉めて低いところの集落で冬をすごす「冬住み」という習慣がありました。1897年(明治30年)ごろまで残っていたそうです。
  • ショーでは、最後に板を勢いよく動かして、しぶきを高く上げます。熱乃湯の建物は、もとは共同浴場だったと紹介されています。

ゲームにするときに変えたところ

本物の湯もみは、歌に合わせて長い時間、板を動かし続けます。ゲームでは1回の湯を1〜2分で遊べるように、リングに合わせて拍にぴったり当てるリズムゲームにしました。

温度計、お客さんの好みの温度の帯、「うで」の疲れゲージ、仲間とのそろい、途中で熱い湯が足される出来事は、遊びとして楽しくするために作った設定です。本物の湯もみにそのままあるものではありません。

本物の湯の温度は、場所や時期でちがいます。ゲームの数字(52.7度など)は、紹介されている数値を参考にした目安です。

歌は、実際の民謡の歌詞やメロディを使わず、オリジナルのかけ声(「よっ」「はっ」「それっ」)と、お祭り風のオリジナル曲にしています。

本物と同じく、ゲームでも水は足せません。温度を下げる手段は、板だけです。

見に行く・体験するには

群馬県草津町の湯畑のそばにある熱乃湯では、「湯もみと踊り」のショーが一日に何回か行われています。回数・料金・時刻は変わることがあるので、必ず草津温泉の公式の案内で確かめてください。曜日によっては、湯もみを体験できる回もあるそうです。

草津町の西の河原公園には、ベルツ博士の記念碑(1935年建立)があります。時間湯は、いまも草津に受けつがれている入り方ですが、入れる場所・時間・決まりごとがあるので、行く前に公式の案内で確認しましょう。

用語ミニ辞典

湯もみ(ゆもみ)
熱い温泉を、長い板でかきまぜて、水を足さずに冷ます方法。
源泉(げんせん)
地面からわき出たばかりの温泉。草津はとても熱い。
湯畑(ゆばたけ)
草津温泉の町の中心にある源泉。木の樋で湯を流して、湯の花を集める。
湯の花(ゆのはな)
温泉の成分が固まってできた、やわらかい結晶。
時間湯(じかんゆ)
熱い湯に、決められた時間(3分)だけ入る、草津の伝統の入り方。
湯長(ゆちょう)
時間湯の入り方を指導して、号令をかける人。
六尺板(ろくしゃくいた)
湯もみに使う長い板。六尺は約1.8メートル。
強酸性(きょうさんせい)
酸の強さを表す言葉。草津の湯はpH2前後でとても強い。
湯治(とうじ)
温泉に長く泊まって、体を休めて病気やけがを治すこと。
日本三名泉
昔から名高い3つの温泉(有馬・草津・下呂)をまとめた呼び名。

参考にした資料

※ゲームでは遊びやすくするため、本物とちがう所があります。

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新ジャンル 06

人工雪

じんこうゆき

雪の形は、空の気温と水蒸気で決まる。その秘密を実験室で解き明かした人がいた。

雪の結晶は、空の雲の中で水蒸気が氷になって育った、小さな小さな氷の花です。ひとつひとつ形がちがうのに、六角形がもとになっています。じつは、その形は育った場所の「気温」と「水蒸気の多さ」で決まります。この決まりを、世界で初めて人工の雪を作って確かめたのが、日本の物理学者・中谷宇吉郎(なかや うきちろう)でした。このゲームでは、あなたが実験室の研究者になって、注文どおりの結晶を育てます。

遊べるゲーム:雪の結晶づくり 温度と湿度の実験室 メンバー限定
遊びのタイプ:実験シミュレーション
雪の結晶の形は、気温と水蒸気の量で決まる。本物の科学をもとに、顕微鏡の中で注文どおりの結晶を育てる実験ゲーム。解説ガイドつき。

▶ 「雪の結晶づくり 温度と湿度の実験室」で遊ぶ
くわしい解説を読む(人工雪ってなに?・歴史・本物のやり方・豆知識)

雪の結晶ってなに?

雪は、空の雲の中で水蒸気が冷やされて、氷の小さなつぶ(氷晶)になり、それが育ったものです。雲の中には、0℃より低くても凍らずに水のままのつぶ(過冷却の水滴)がたくさんあります。その近くで育つ結晶は、水蒸気がたっぷりある場所に置かれるので、とても速く大きくなる、と説明されています。

ふつうの雪の結晶の大きさは0.1〜5ミリほどで、10ミリをこえるものはめずらしいそうです。

六角形になるのは、氷をつくる水の分子が、六角形を重ねたような「六方晶系(ろっぽうしょうけい)」というならび方をするからです。だから雪の結晶は、六角の板や六角の柱、そして6本の枝を持つ形になります。

形の分け方もいろいろあります。中谷は大きく7種類、細かく41種類に分けました。実用では、1949年に国際雪氷委員会が決めた10種類の分け方が使われると紹介されています。

はじまりと歴史(人工雪のたんじょう)

中谷宇吉郎は、1900年(明治33年)7月4日に、石川県の片山津(いまの加賀市)で生まれました。北海道の大学(北海道帝国大学。いまの北海道大学)で研究し、1933年ごろから自然の雪を観察して、約3000枚もの結晶の写真をとったといわれます。

大学の常時低温研究室ができたのは1935年。そして1936年3月、世界で初めて人工の雪を作ることに成功しました。成功の日は3月12日とする資料があり、助手の関戸弥太郎(せきど やたろう)さんがウサギの毛を使った実験を3月14日とする資料もあります。ウサギの毛を使ったのは、防寒服のえりの毛だったと伝えられています。綿ひもや羊毛の糸もためされたそうです。毛には小さなコブがあり、水蒸気が集まる「核(たね)」になったと考えられています。

その年の10月には、人工雪の実験を天皇陛下に見ていただいた(天覧)という記録もあります。

中谷は、温度や水蒸気の量を変えながら、いろいろな結晶を作りました。そして「この温度で、この水蒸気の量だと、この形」とまとめた図を作りました。これが「中谷ダイヤグラム」です。1954年には英語の本『Snow Crystals, Natural and Artificial』(ハーバード大学出版)も出しています。のちに小林禎作(こばやし ていさく)さんが、水滴のない条件で結晶を育てて確かめ、ほぼ同じ結果になったと説明されています。

有名な言葉「雪は天から送られた手紙である」は、1938年の著書『雪』にある言葉として知られています。結晶の形を読めば、それが育った上空の気象のようすがわかる、という意味です。中谷は1962年4月11日に亡くなりました。

本物の人工雪のやり方(実験のしかた)

  1. マイナス数十℃まで下げられる低温室を用意します。紹介されている実験では、-50℃まで下がる部屋でした。
  2. 高さ1メートルほどの装置を低温室に置き、底にある水の入れ物をヒーターで温めます。
  3. 温められた水から水蒸気がのぼり、装置の上のほうで冷やされます。
  4. 上からつるしたウサギの毛の先に水蒸気が集まり、そこを核にして結晶が育ちます。
  5. 部屋の温度や水蒸気の量を変えて、できた結晶の形をしらべて記録します。
  6. 条件を変えて何度もくりかえし、「この条件ならこの形」と表にしていきます。これが中谷ダイヤグラムのもとになりました。

このゲームの遊び方

  1. 「ちゅうもん」を選びます。お客さんの注文は「こんな形の雪の結晶がほしい」というもの。画面の右上にも、もくひょうの形が出ます。
  2. 下の地図(よこが温度、たてが水蒸気)をタップかドラッグして、育てる条件を選びます。◀▶で温度、▲▼で水蒸気を1つずつ動かすこともできます。色のちがう場所ごとに、育つ形が決まっています。
  3. ▶そだてる をおすと、中央の顕微鏡の中で、結晶が少しずつ育ちはじめます。
  4. とちゅうで ⟳きりかえ をおすと、そこから先に育つ形が変わります。いままで育った形は消えずに残るので、「角板の先に枝」「枝の先に小さな板」のような形が作れます。切りかえには回数の限りがあります。
  5. 時間がなくなるか ✓かんせい をおすと、注文の形とのそっくり度が出て、★がもらえます。かんたん では目標の形がうすく重なり、むずかしい ではヒントなしで挑戦します。
  6. ★がたまると、つぎの注文が開きます。全部で20の注文と、自由に実験できる「自由実験」があります。できた結晶は写真帳に入ります。キーボードでは ←→ 温度、↑↓ 水蒸気、Enter で育てる/切りかえ。

知るともっと楽しい豆知識

  • 雪の結晶の形が切りかわる温度の境目は、約-4℃、-10℃、-22℃だと説明されています。0〜-4℃は板、-4〜-10℃は柱、-10〜-22℃はまた板、-22℃より寒いとまた柱の形になりやすいのです。
  • 水蒸気が増えると、板は木の枝のような「樹枝(じゅし)」へ、柱は「針」へと、形が複雑になっていきます。
  • 雪の結晶がいちばんはげしく育つのは-15℃ごろだと、アメリカの結晶研究者が紹介しています。ここで大きな板や、枝わかれした樹枝が育ちます。-5℃ごろで水蒸気がやや多いと、中がへこんだ柱(中空の柱)が育つ、とも説明されています。
  • 天然の雪は、雲の中を落ちながら条件が変わっていくので、形が千差万別になります。たとえば、はじめは板が育つ条件、あとで枝が出やすい条件、というふうに、通ってきた道のりが形に残ります。
  • 天然の雪の6本の枝がそろうのは、結晶が回りながら落ち、6本の枝の先がだいたい同じ条件になるからだ、と考えられています。
  • 実験室では、結晶をウサギの毛などに固定して育てます。すると枝の長さがまちまちになり、天然の雪より左右対称さが少しくずれるそうです。

ゲームにするときに変えたところ

  • 本物の中谷ダイヤグラムのたて軸は、雲の水滴もふくんだ水の量をもとにした値です。ゲームでは、だれでも動かせるように「水蒸気 0〜100%」の目盛りに、わかりやすく単純にしました。数字は実験の値そのものではありません。
  • 温度の境目(-4℃、-10℃、-22℃)は出典の図に合わせました。ただ、ゲームでは見やすいようにはっきりした線で区切っています。
  • 本物の結晶は立体で、育つのにも時間がかかりますが、ゲームでは顕微鏡の絵として単純にえがき、育つ時間もぎゅっと縮めています。6本の枝も、ゲームでは完全にそろうように描いています。
  • 時間制限、切りかえ回数の制限、そっくり度で★がもらえるしくみは、遊びとして作ったルールです。
  • 「角板の先に枝」「枝の先に小さな板」などの注文の名前は、わかりやすさのためにこのゲームで付けたものがあり、研究で使う正式な分類名とは限りません。

見に行く・体験するには

石川県加賀市には「中谷宇吉郎 雪の科学館」があります。加賀市の片山津出身の中谷の仕事を紹介する施設で、ダイヤモンドダストなどの実験を体験できます。建物は建築家の磯崎新(いそざき あらた)さんの設計で、グリーンランドの石を敷いた中庭には、人工の霧が出ます。

能登半島地震のあとの修繕で、お休みしていた時期があります。出かけるときは、開館日や時間を、加賀市の最新の案内で確かめてください。

用語ミニ辞典

結晶(けっしょう)
原子や分子が、きまりよくならんでできた固体。雪の結晶は、水の分子がならんでできた氷。
過飽和(かほうわ)
氷が育つのにつりあう量より、水蒸気が多い状態。多いほど、結晶は速く育ち、複雑な形になりやすい。
過冷却(かれいきゃく)
0℃より低くなっても、凍らずに水のままでいる状態。雲の中の水滴がこうなっている。
核(かく)
水蒸気が集まって結晶が育ちはじめる、「たね」になるもの。人工雪ではウサギの毛が使われた。
中谷ダイヤグラム
温度と水蒸気の量によって、どんな形の結晶が育つかを示した図。
晶癖(しょうへき)
温度などで、結晶が「板になりやすい」「柱になりやすい」といった形のくせが変わること。
角板(かくばん)
平らな六角形の板の形の結晶。
樹枝(じゅし)
木の枝のように、こまかく枝わかれした結晶。
角柱(かくちゅう)
えんぴつのような六角形の柱の形の結晶。中がへこんだ「中空の柱」もある。
天覧(てんらん)
天皇が実際にごらんになること。1936年10月に人工雪の実験が見せられたという記録がある。

参考にした資料

※ゲームでは遊びやすくするため、本物とちがう所があります。

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新ジャンル 07

BCL

びーしーえる(海外の短波放送を聞いて楽しむ趣味)

ザーッという雑音の中から、遠い国の放送をつかまえる趣味

ラジオのダイヤルをゆっくり回すと、ザーッという雑音のむこうから、とつぜん知らない国のメロディが聞こえてくる。BCLは、そんなわくわくを楽しむ趣味です。聞こえた放送を手紙で知らせると、お礼に美しい「ベリカード」が届くこともあります。

遊べるゲーム:短波ラジオ受信 世界の放送をさがせ メンバー限定
遊びのタイプ:さがして集める
短波ラジオのダイヤルを回して、雑音の向こうの外国放送をつかまえよう。目印メロディを聞き分け、報告書を送って、全24局のベリカードを集める。

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くわしい解説を読む(BCLってなに?・歴史・本物のやり方・豆知識)

「BCL」ってなに?

BCLは、英語の「ブロードキャスト・リスニング」(放送を聴く)の頭文字をとった言葉で、ラジオやテレビの放送を聴いて楽しむ趣味のことです。ふつうは、せまい意味で使われて、おもに短波ラジオで、海外から届くラジオ放送を受信して楽しむことをいいます。欧米では「SWL」(短波を聴くこと)や「DX(ディーエックス)」ともよばれます。DXは「Distant X」、つまり遠くの相手との通信を表す言葉からきたとされています。

短波は、およそ3〜30MHz(メガヘルツ)の電波のことです。この電波は、空の高い所にある「電離層」にあたってはね返り、地球をぐるっと回って、何千キロも先まで届くことがあります。だから、日本にいながら遠い国の放送が聞こえるのです。

ただし、電離層は太陽の光でどんどん変わります。時間、季節、太陽の元気さによって、聞こえる周波数も聞こえ方も変わるので、毎回ちがうどきどきがあります。

はじまりと歴史(由来)

ラジオの放送が始まったばかりの1920〜30年代から、遠くの局の放送を受信して、「確かに聞きました」という証明のカードをもらうことは、愛好家のほこりでした。短波放送は、第二次世界大戦の前に、国が自分の国のようすや考えを世界へ伝える道具として使われたことで、大きく注目されたといわれます。そのあと、各国が強い電波で放送するようになり、短波の周波数はこみあって、ほかの局の放送が重なる「混信」がいつも問題になりました。1959年には、スイスのジュネーブでの国際会議で、短波放送の周波数の割り当てが決められています。

日本で「BCL」が大ブームになったのは、1970年代から1980年代にかけてで、主役は小学生や中学生・高校生などの若い人たちでした。家電メーカーが高性能な短波ラジオを競って発売し、1974年1月に始まった日本短波放送(いまの日経ラジオ社)のBCL番組「ハロー・ジーガム」も、ねらい以上の人気になったと伝えられています。1976年1月には、日本BCL連盟が月刊「短波」を創刊しました。

1976年に郵便料金が大きく上がり、受信報告書を送るお金が若い人たちの負担になったことも、ブームが落ち着いた原因の一つとされています。それでも趣味は続き、2000年以降は50〜60代の「復活組」が加わって、BCLをする人が再びふえはじめたと、国際放送局の担当者は話しています。1995年の阪神・淡路大震災や2011年の東日本大震災のあとには、ラジオそのものの役立ちも見直されました。

本物のBCLのやり方(遊び方)

  1. 短波が聞けるラジオを用意します。アンテナ(ロッドアンテナや長い電線)の向きや長さでも、聞こえ方が変わります。
  2. 放送局の周波数表や時間表で、いま聞こえそうな局と周波数を調べます。ふつう、昼は高い周波数、夜は低い周波数が遠くまで届きやすくなります。
  3. ダイヤルをゆっくり回します。雑音の中から放送が浮かびあがってきたら、いちばんよく聞こえるところに合わせます。
  4. 放送のはじめに流れる「インターバル・シグナル」や、局名のアナウンスを聞いて、どこの局かを確かめます。
  5. 聞いた日付・時刻・周波数、受信の状態(SINPOコード)、番組の内容のあらましをノートに書きます。
  6. それを「受信報告書」にして、郵便やメールで放送局へ送ります。
  7. 局が内容を確かめて返してくれる「ベリカード(受信確認証)」が届いたら大成功。集めてアルバムにします。

このゲームの遊び方

  1. 画面の下のバンドボタン(49m・41m・31m・25m・19m・16m)で、聞くグループを選びます。夜は数字が大きいバンド(49mなど)、昼は小さいバンド(19mなど)が聞こえやすい、という本物のきまりを再現しています。ボタンの下の細い棒は「いま電波が届きやすいか」の目安です(むずかしいでは出ません)。
  2. ダイヤルを左右にドラッグして周波数を合わせます(キーボードは ←→、Shiftで細かく、ボタンで1kHzずつ)。ダイヤルの下の細い帯では、バンド全体をさっと動かせます。
  3. 放送に近づくと、ザーッという雑音の中から「ピーッ」という笛の音が聞こえます。この音がだんだん低くなって消えるところが、ぴったりの合わせどころです。
  4. 目印のメロディ(インターバル・シグナル)がはっきり聞こえて、字幕が読めるようになると、受信ゲージがたまります。満タンになったら「報告書」ボタンです。
  5. 報告書では、①聞こえたメロディの局、②番組の種類、③SINPO(強さ・混信・雑音・ゆれ・総合)を5つ、それぞれ1〜5で評価して送ります。メロディは「▶」で聞きくらべできます。
  6. 評価が実際の受信に近いほど、ベリカードが早く届きます。待つあいだは「⏩」で時計を進められます。届いたカードは「カード帳」に入り、全24局のカードがそろえばクリアです。

知るともっと楽しい豆知識

  • インターバル・シグナルは、放送のはじまる前などに流す「局の名刺」のようなメロディや音です。もともとは、周波数が数字で読みとれないラジオで、ダイヤルを合わせる助けとして始められたといわれます。BBCワールド・サービスはロンドンの教会の鐘(ボウ・ベルズ)、NHKワールド・ラジオ日本は「数え歌」の変奏曲を電子オルゴールで流しています。
  • SINPOコードは、1951年に国際無線通信諮問委員会(CCIR、いまのITU-Rの前身)が決めた書き方です。信号の強さ(S)・混信(I)・雑音(N)・伝わり方の乱れ(P)・総合(O)を、それぞれ1〜5の数字にして並べます。たとえば「54554」は、混信が少なくて、とても聞きやすい受信のことです。
  • SINPOのPは「伝わり方の乱れ」のことですが、わかりやすいように、Pのかわりにフェージング(F)を使う「SINFO」という書き方もあります。評価は聞いた人の感じかたなので、人によって少しずれます。
  • フェージングは、電離層がゆれたり、いくつかの道すじを通ってきた電波が受信する場所で重なったりして、音が大きくなったり小さくなったりすることです。短波では、ほぼ避けられません。
  • 昼間は、いちばん低い電離層(D層)が低い周波数の電波を吸いこんでしまいます。D層は夜になると消えるので、夜は低い周波数の電波が遠くまで届きやすくなります。ゲームで夜に49mや41mが聞こえやすいのは、このためです。
  • 太陽の表面で大きな爆発(太陽フレア)が起こると、いちばん低い電離層(D層)が急に電波を吸いこんで、短波が一時的に聞こえなくなることがあります。これを「デリンジャー現象」といいます。ゲームの「太陽フレア」のイベントは、これにちなんでいます。
  • 太陽の黒点は約11年の周期でふえたりへったりします。黒点が多い時期は高い周波数がよく届き、少ない時期は低い周波数がよく届くとされています。
  • 放送局は季節ごとに「夏用」と「冬用」の周波数計画を作り、3月と10月の最後の日曜日に切りかえます。
  • ベリカードは、はがきと同じ大きさや紙のものが多く、その国の風景や名所、文化を表す絵や写真が使われます。世界遺産をテーマにしたシリーズを出している局もあります。アマチュア無線の「QSLカード」にも似た仕組みがあります。

ゲームにするときに変えたところ

  • ゲームに出てくる放送局・国・メロディ・周波数は、すべて架空です。本物の放送局とは関係ありません。バンドの名前(49mなど)は本物の呼び方にならっています。
  • 本物の放送は人の声や番組ですが、ゲームでは「目印のメロディ」と「字幕」で表しています。ザーッという雑音や、アナウンサーの声のような音は、パソコンの中で作った音です。
  • 昼夜・季節・フェージング・混信は、わかりやすくするために単純にしています。本物は、場所、アンテナ、局までの距離、太陽の活動などでもっと複雑に変わります。
  • 本物のSINPOは聞いた人の感じかたで決めます。ゲームでは、受信中の強さ・雑音・混信・ゆれを測って正解の数字を決め、近さで採点しています。
  • 本物は、郵便やメールでのやりとりなので、返事が来る早さは局によってちがいます。ゲームでは、評価の正確さで早さが決まり、「⏩」で時間を進められるようにしています。

見に行く・体験するには

東京都港区の「NHK放送博物館」(愛宕山)は、1956年に開館した「世界最初の放送専門ミュージアム」で、放送の歴史や放送を支えた機材が見られます。入館は無料です。開館日や時間は、出かける前に公式サイトで確認してください。

NHKワールド・ラジオ日本は、いまも短波で日本語の放送を続けています(茨城県古河市のKDDI八俣送信所から送信)。2026年10月からは、日本語の定時放送は1日3時間50分になりました。放送の時間や周波数は変わることがあるので、くわしくは公式の案内で確かめてください。

用語ミニ辞典

短波(たんぱ)
およそ3〜30MHzの電波。電離層で反射して、遠くまで届く。
電離層(でんりそう)
空の高い所にある、電気を帯びた粒の層。電波をはね返したり、吸いこんだりする。
BCL
放送を聴いて楽しむ趣味。せまい意味では、海外の短波放送を受信すること。
インターバル・シグナル
放送のはじまる前などに流す、局を見分けるための短いメロディや音。
ベリカード
受信報告書に対して放送局が送る、「受信を確認しました」の証明カード。
受信報告書(じゅしんほうこくしょ)
いつ・どの周波数で・どう聞こえたか・番組の内容を書いて、局へ送る手紙。
SINPO(シンポ)
S強さ・I混信・N雑音・P伝わり方の乱れ・O総合。それぞれ1〜5で表す。
フェージング
電波の強さがゆっくり強くなったり弱くなったりして、音がゆれること。
混信(こんしん)
となりの周波数など、ほかの局の放送が重なって聞こえること。
Sメーター
受信している電波の強さを針で見せるメーター。機種によって目盛りがちがう。

参考にした資料

※ゲームでは遊びやすくするため、本物とちがう所があります。

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新ジャンル 08

そば打ち

そばうち

そば粉と水から、細くて長い一本の麺へ。手のしごとを体験しよう

そば打ちは、そばの実をひいた「そば粉」に水を加え、こねて、のばして、細く切って、麺にするまでの手しごとです。道具はおもに、木の鉢・めん棒・包丁・こま板。機械を使わず、手と道具だけで仕上げます。このゲームでは、そのなかでいちばん大事な5つの工程を、指で体験できます。

遊べるゲーム:そば打ち 水回しから切りまで メンバー限定
遊びのタイプ:職人ミニゲーム
手打ちそばの水回し・菊練り・のし・たたみ・切りを指先で体験。毎日ちがう注文を15日間打ちぬいて、町の名店をめざそう。はじめての人向けガイドつき。

▶ 「そば打ち 水回しから切りまで」で遊ぶ
くわしい解説を読む(そば打ちってなに?・歴史・本物のやり方・豆知識)

そば打ちってなに?

そばは、タデ科というなかまの草の実(そばの実)をひいた「そば粉」から作る麺です。そば粉に水をまぜてこねたものをうすくのばし、細く切るまでの作業を「そば打ち」とよび、手でおこなうものを「手打ち」といいます。

そばの草は、育つまでの期間が2〜3か月とみじかく、霜(しも)には弱いけれど、高い土地や寒い土地でも育ちます。ほかの作物がだめになったときの「救荒作物(きゅうこうさくもつ)」として、昔から大切にされてきました。

そば粉は、小麦粉とちがって、水を加えただけではまとまりにくい粉です。そのため、小麦粉などの「つなぎ」をまぜて打つことが多く、そば粉だけで打つ場合と名前がわかれます。そば粉だけで打つのが「十割(じゅうわり)そば」、そば粉8に対して小麦粉2くらいの割合のものが「二八(にはち)そば」とよばれます。

はじまりと歴史(由来)

日本でそばを育てたという記録でいちばん古い文書は、奈良時代の722年(養老6年)の『続日本紀(しょくにほんぎ)』とされています。そのころのそばは、お米などが足りないときのための作物として植えられていました。

いまのように細く切った麺「そば切り」が、いつ、どこで始まったのかは、はっきりしていません。1614年の『慈性日記(じしょうにっき)』という日記に、そば切りをごちそうになった記録があり、江戸時代のはじめには広まっていたと考えられています。生まれた土地も、信濃(いまの長野県)や甲州(山梨県)など、いくつもの説があります。

そのころのそば切りは、そば粉だけで打った麺でした。小麦粉をつなぎに使うようになったのは、早くても江戸時代の元禄(げんろく)の終わりごろ以降だと考えられています。1728年ごろには、江戸の神田あたりの店が「二八即座けんどん」の看板を出し、これが二八そばのはじまりとみられています。

機械で麺を作る「製めん機」は、1888年に特許がとられてから、少しずつ広がりました。江戸時代の後半には、高級な店が「手打ち」を看板にして、ふつうの二八そばとのちがいを見せていたといいます。いまは機械と手打ちの両方があり、手打ちは技を楽しむ文化として受けつがれています。

本物のそば打ちのやり方

  1. 【水回し(みずまわし)】木鉢に入れたそば粉に、水を一度にではなく、少しずつ分けて加えます。両手の指先で粉をかきまぜるようにして、水を粉ぜんたいにむらなく行きわたらせます。うまくいくと粉がしっとりして、手ごたえが重くなります。水を入れすぎると取り返しがつかないので、少しずつ足していくのがコツです。
  2. 【くくり・こね】粉っぽさがなくなってきたら、ばらばらの粉を押し固めて、ひとつの大きな塊にまとめます。これを「くくり」といいます。さらに、空気をぬくように手のひらでしっかり練り、しわのない丸い形にととのえます。手のひらで押しながら回して練るやりかたの一つを「菊練り」とよびます。陶芸にも同じ名前の練りかたがあり、練るときにできる花びらのような模様が名前のもとだといわれます。
  3. 【のし】丸い塊をてのひらでおして平らにし、打ち粉をふりながら、めん棒で丸く、やがて四角くのばします。県の資料にあるレシピでは、厚さが2〜3ミリになるまでうすくします。いちばん大事なのは、どこも同じ厚さに「均一にのす」ことです。
  4. 【たたみ】打ち粉をたっぷりふってから、のばした生地を折りたたみ、包丁で切りやすい幅にします。打ち粉がたりないと、生地がくっついてしまいます。
  5. 【切り】たたんだ生地の上にこま板(木の定規)をのせ、包丁をまっすぐ下ろして切ります。包丁を下ろすたびに、こま板を同じ幅だけずらすと、太さのそろった麺になります。県の資料にあるレシピには、幅2ミリに切る例があります。
  6. 【ゆでる・しめる】たっぷりのお湯でゆでて、浮いてきたら火を止め、冷たい水でしめます。麺の太さがそろっていると、ゆでむらが出にくくなります。

このゲームの遊び方

  1. 【① 水回し】「水をいれる」ボタンをおしている間だけ、水がそそがれます。水は3回まで。入れるたびに、鉢の上を指でぐるぐる円をえがいて、水をなじませましょう(キーボードは矢印キーをカチカチ)。「しっとり度」メーターのちょうどよい帯に入れるのがねらいです。入れすぎは、もどせません。
  2. 【② くくり・菊練り】曲に合わせてちぢんでくる輪が、生地の輪にぴったり重なったときに、画面をタップ(スペースキーでもOK)。タイミングがよいほど生地の空気がぬけて、菊の花のような模様が広がります。
  3. 【③ のし】生地の上を、指で前後(上下)やよこにドラッグして、めん棒を動かします。動かした向きにそって、生地がのびていきます。厚さの地図が緑色になるように、どこも同じ厚さにして、四角い形をめざしましょう(キーボードは矢印キー)。
  4. 【④ たたみ】まず「打ち粉」ボタンで打ち粉をふります。そのあと、お店の決まりの順番どおりに「半分に折る」「手前から」「奥から」をおします。順番をまちがえたり、打ち粉がたりなかったりすると、しわやくっつきが出ます。
  5. 【⑤ 切り】こま板がゆっくり動いていきます。印の位置にこま板のふちが来たとき、タップして「トン」と包丁を下ろします。同じリズムで切ると、麺の太さがそろいます。
  6. 【毎日の注文】15日間、日がわりでお客さんの注文が変わります。二八・十割・太打ち・細打ちなど、注文によってコツがちがいます。上手に作るとお店の評判が上がり、新しい道具がふえていきます。

知るともっと楽しい豆知識

  • そば打ちには、昔から「木鉢三年、延ばし三月、包丁三日」という言いならわしがあります。山形県のそば紹介では、いちばん最初の木鉢での水回しとくくりが、もっとも重要だといわれていると説明されています。「一鉢、二延し、三包丁」のように、鉢の中の作業、のばし、包丁の順に大切だという言いかたも、各地で使われています。
  • 二八そばの「二八」には、2つの説があります。ひとつは、そば1杯のねだんが16文(2×8)だったから、という説。もうひとつは、そば粉8割・小麦粉2割の配合からきたという説です。どちらも言われていて、決着はついていません。
  • 大みそかに食べる年越しそばにも、いくつかの説があります。江戸時代の商家で、いそがしい月末にそば切りを食べていた習慣が、年末だけに残ったという説。金銀の細工をする職人が、散らばった金粉をそば粉の団子で集めたことから、お金が集まる縁起ものになったという説などです。
  • そば粉には、実のまん中だけをひいた白い粉(一番粉。「更科(さらしな)」のもと)や、からをとってからぜんぶをひいた黒っぽい粉(挽きぐるみ)などがあり、色も香りも変わります。
  • そば打ちを楽しむ人のための段位認定制度があります。一般社団法人の全麺協(ぜんめんきょう)が行っていて、2023年11月8日には「第1回全麺協そば道五段位全国大会」が東京で開かれ、全国から78名の五段位認定者が集まりました。
  • そばは、アレルギーを起こすことがある食べものなので、食品には「そば」を使っているという表示のルールがあります。食べさせる前には、必ずアレルギーの有無をたしかめましょう。
  • 県の基準には、「そば」と名のるには、そば粉30%以上・小麦粉70%以下の割合で混ぜた麺を主な原料とする、という決めかたをしている例もあります(埼玉県の認証基準)。

ゲームにするときに変えたところ

本物のそば打ちは、のしだけでも10分ほどかかるといわれる作業で、ぜんぶの工程を通すには、さらに時間と集中力がいります。ゲームでは、一日分を2〜4分で遊べるように、各工程をぎゅっと短くしました。

水回しは、本物では粉の種類や天気に合わせて、手ざわりで水の量を決めます。ゲームでは、わかりやすい「しっとり度メーター」と「ちょうどよい帯」に置きかえました。くくり・菊練りも、本物は体重をのせて練りますが、ゲームではリズムに合わせたタップにしています。

のしは、本物ではめん棒に生地を巻きつけたり、向きを変えたりして、丸から四角へと整えていきます。ゲームでは、ドラッグした方向にのびるように単純にして、生地の厚さを色の地図で見えるようにしました。たたみの順番も、本物は人や店で変わるため、ゲームでは「半分・手前から・奥から」の3つにしぼっています。

切りは、本物では左手でこま板をずらしながら、右手で包丁を下ろします。ゲームでは、こま板が自動で動くので、指一本でできるように、タップのタイミングだけにしました。画面に出てくる数字の太さは、遊びやすさのための目安で、本物の測りかたとは同じではありません。

お客さんの注文、感想、お店の評判、増えていく道具、15日間の物語は、ゲームのための創作です。十割そばが割れやすい、細打ちはむずかしい、といった特徴は、本物の性質をヒントにしたゲーム上の設定です。

見に行く・体験するには

そば打ちは、見るだけでなく、自分の手で体験できる場所が各地にあります。自治体の食育の講座や、観光協会が紹介する体験教室などで、1〜3時間ほどかけて打ち、自分で打ったそばを食べるところまでを楽しむ形が多いようです。

たとえば秋田市は、機械を使わず木鉢・めん棒・包丁で二八そばを打つ体験を、食育の講座として企画し、実技は3時間ほど、試食もつきました。日光市観光協会のサイトにも、地元のそば粉を使って学ぶ約1時間のそば打ち体験が紹介されています。

そば打ちの腕をみがく人のための「そば道」の段位認定会も、各地で開かれています。仙台市の発表資料には、2026年6月27日に仙台秋保大会(初段・二段・三段)が開かれ、50名が段位認定にのぞむと紹介されていました。

開催の日にちや料金、予約が必要かどうかは、そのつど変わります。行く前に、主催している自治体や施設の最新の案内で確かめてください。そばアレルギーがある人は、体験のときも必ず先に伝えましょう。

用語ミニ辞典

水回し(みずまわし)
粉に水を少しずつ加えて、むらなく行きわたらせる最初の工程。そば打ちでいちばん大事といわれる。
くくり
ぽろぽろの粉を押し固めて、ひとつの塊にまとめる工程。
菊練り(きくねり)
粉っぽさがなくなった塊を、手のひらで押して回しながら練る方法。陶芸にも同じ名前があり、花びらのような模様が名前のもと。
のし
めん棒で生地をうすく、均一な厚さにのばす工程。
四つ出し(よつだし)
丸くのばした生地の四すみを出して、四角い形に整えていく作業。
打ち粉(うちこ)
生地がくっつかないように、まぶしたりふったりする粉。
こま板
切るときに生地にのせる木の板。包丁の当たる位置をそろえ、幅のそろった麺を切るための道具。
つなぎ
そば粉がまとまりやすくなるように混ぜる材料。小麦粉や卵などがある。
十割そば(じゅうわりそば)
つなぎを使わず、そば粉だけで打ったそば。
二八そば(にはちそば)
そば粉8に対して小麦粉2くらいで打つそば。名前の由来には、ねだん説もある。

参考にした資料

※ゲームでは遊びやすくするため、本物とちがう所があります。

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新ジャンル 09

活版組版

かっぱんくみはん

金属の活字を拾って並べて刷る、ハンコと同じ「さかさ文字」の印刷。

活版印刷(かっぱんいんさつ)は、金属でできた小さな「活字」を一本ずつ組み合わせて版をつくり、インキをつけて紙に押しつける印刷の方法です。活字の文字は、ハンコと同じように左右が反対になっています。紙に押すと、ちゃんと読める向きにもどります。このゲームでは、その「拾う・並べる・刷る」を、スマホの指先で体験します。

遊べるゲーム:活版印刷 さかさ文字で組む メンバー限定
遊びのタイプ:文字さがし×スピード
金属の活字を拾って並べ、インキをのせて刷る。左右がさかさの文字を読み解く、活版印刷の印刷所ゲーム。縦組み・ルビ・2色刷りもある全20注文。

▶ 「活版印刷 さかさ文字で組む」で遊ぶ
くわしい解説を読む(活版組版ってなに?・歴史・本物のやり方・豆知識)

活版組版ってなに?

活版印刷とは、活字を組み並べて作った「活版」という版にインキをぬって、紙に刷る方法です。文字の部分が出っぱった「凸版(とっぱん)」で刷る印刷の仲間です。組んだ活字をバラして、また組みなおせるので、「生きた版」という意味で「活版」と名づけられたと説明されています。

活字は、文字を左右反対にうき彫りにした小さな金属のかたまりです。文字にインキをのせ、紙にぐっと圧力をかけて押しつけるので、ハンコの仕組みとよく似ています。日本語の活字は、基本的にどれも正方形の文字の面(字面)をもっていて、同じ大きさなら横はばも同じです。

活字を並べて文章の形に整え、組み上げた版のことを「組版(くみはん)」とよびます。

はじまりと歴史(由来)

ヨーロッパでは、1445年ごろにドイツのグーテンベルクが活版印刷を行ったとされます。最初に考えた人については、オランダのコステルという人だとする説もあり、年代も資料によって少しちがいます。いずれにしても、そのころ印刷された本の代表は聖書でした。

日本には、1590年に宣教師のバリニャーノが活字の印刷機を持ちこみました。肥前(いまの長崎県)の加津佐などで、イエズス会が「キリシタン版」とよばれる本を刷りはじめます。宗教の本だけでなく、『日葡辞書』のような辞書や、『伊曽保物語』のような物語もありました。1610年代の前半(1611〜14年ごろ)には姿を消し、1614年には印刷機がマニラにゆずられました。

同じころの文禄・慶長のころ(1590年代)には、朝鮮から活字で印刷する技術や銅の活字が伝わりました。こうして、木や銅の活字で本をつくる「古活字版」が、文禄・慶長から寛永のころ(1600年代前半)まで、約半世紀さかんになりました。でも、文字の種類が多い日本語は、活字を選んで組む手間が大きく、17世紀の中ごろには木版印刷にとってかわられます。

金属活字が日本でふたたび広まるのは、幕末から明治にかけてです。長崎のオランダ通詞(通訳)だった本木昌造(1824〜1875)は、1869年に長崎で活版伝習所を開き、上海から来たアメリカ人のウィリアム・ガンブルから活字づくりを学んで、金属活字の鋳造に成功しました。弟子の平野富二が東京で開いた築地活版製造所の書体(築地体)は、いまの印刷文字の源流のひとつといわれます。

日本の活版印刷は、1980年ごろから、写真や電子の技術を使うオフセット印刷にだんだん代わられていきました。それでも、愛知県の地方新聞『東海愛知新聞』のように、平成3年(1991年)まで活版で新聞を刷っていた例もあります。

本物の活版印刷のやり方(工程)

  1. 活字をつくる:まず書体をデザインして、文字の型(母型)をつくります。その型を活字鋳造機にはめ、とかした合金(鉛が中心で、スズとアンチモンをまぜたもの)を流しこんで、活字をつくります。
  2. 文選(ぶんせん):原稿を見ながら、活字ケースから必要な活字を一本ずつ拾い出します。日本語は文字の種類がとても多いので、使う活字だけをあらかじめ用意します。
  3. 植字(しょくじ):拾った活字を、原稿どおりに「ステッキ」の上に並べます。行と行のあいだにはインテル、字のあいだや余白には込め物をはさんで、形を整えます。
  4. 組版・結束:数行ずつ「ゲラ」という盆にうつして、ページ全体の版を組み上げ、ばらけないように糸でぐるりと縛ります(結束)。
  5. 校正:ためしに刷る「ゲラ刷り(校正刷り)」で、まちがい(誤植)がないか確かめます。まちがいを見つけたら、ピンセットで活字を入れかえます。
  6. 印刷:問題がなければ印刷機に取りつけ、インキをつけて紙に押しつけて刷ります。
  7. 解版(かいはん):刷り終わったら、インキを落として版をバラバラにして、活字を一本ずつ元のケースにもどします。

このゲームの遊び方

  1. 注文票を読む:お客さんから、名刺やはがきなどの注文が届きます。文面と、そろえ方(中央・左・右・両はし)、紙の種類を確かめましょう。
  2. 文選:活字ケースから、文面の活字をタップして拾います。ケースの活字は左右が反対です。「さ」と「ち」のように、反対にするとそっくりになる字に気をつけて。「かがみ」ボタンで正しい向きをちらっと見ることもできます。
  3. 植字:拾った活字を、ステッキへ順番どおりにタップして並べます。ステッキは版を表から見た向きなので、右から左へ並んでいきます。下のプレビューは刷ったときの向きです。行がぴったり埋まるように、全角の「クワタ」と二分の「スペース」をはさみます。さかさになった活字は、タップしてひっくり返します。
  4. 刷り:まずローラーを上下にドラッグしてインキをのばします。つぎに、ゆれる紙を版の位置に合わせてタップ。レバーをにぎって、ちょうどよい強さでぱっとはなします。最後に紙をめくります。
  5. 校正:刷り上がりに赤ペンでチェックが入ります。まちがいが少なく、早くきれいに仕上げるほど高得点。進むと、縦組み・ルビ(ふりがな)・2色刷りの注文も届きます。全部で20の注文が待っています。

知るともっと楽しい豆知識

  • ある活版の工房では、ひとつの書体・大きさの活字棚に、記号や数字もふくめて約2500種類の活字がならんでいたと紹介されています。「の」「し」「て」「を」のようによく使う字は、数百本ずつ用意されたそうです。
  • 活字を入れる棚は、よく使う文字を先に集め、そのほかは漢字の部首ごとに並べていました。よく使うかなは、手がとどきやすい上の段の中央に置いたそうです。
  • 活字の金属は、鉛が73〜87%、スズが1〜7%、アンチモンが12〜20%の合金が一般的です。とけやすく、流れやすく、型からはずれやすいので、この割合が選ばれています。
  • 活字の側面には、1〜3本の溝「ニック」があります。活字の背とお腹(向き)、大きさ、書体を見分けるための目印です。
  • 活字の高さは、日本のJISで23.45ミリと決められています。ただ、会社によって23.32ミリのものも使われていたそうです。
  • 活字の大きさは、1ポイント=0.3514ミリ。昔は「号数」も使われ、五号は10.5ポイント、四号は13.75ポイントなどでした。
  • 込め物には、全角より小さい「スペース」と、全角以上の「クワタ」があります。スペースの二分・三分・四分は、全角の2分の1・3分の1・4分の1の大きさです。行と行のあいだに入れる込め物は「インテル」とよびます。
  • 「ゲタ」は、必要な活字がないときに、代わりに活字を裏返して入れる伏せ字のことです。校正刷りでは、下駄の歯のような形の「〓」に見えます。
  • 校正刷りに書きこむ直しは、赤いインキなどを使うので「赤字」とよばれます。直しの記号は、1934年に日本印刷学会が定めたものが元になり、のちにJISの校正記号になりました。
  • 活版印刷は、インキの濃さの変化や、活字のふちの味わいが楽しめるといわれ、いまも名刺やカードなどで人気があります。ただ、活版印刷機そのものは今は作られておらず、50年以上前の機械が使われています。

ゲームにするときに変えたところ

  • 本物は活字を一本ずつ手で拾い、持つ向きや並べ方も、練習して身につけます。ゲームでは画面をタップして拾い、分かりやすいように、版を表から見た向き(左右が反対)で並べる形にしました。
  • 本物の活字ケースには、数千もの活字が入っています。ゲームでは、注文に使う十数個〜三十個ほどの小さなケースにしてあります。
  • 「ゲタ」は、本来は活字がないときにわざと入れる伏せ字です。ゲームでは、さかさに入れた活字や、欠けた活字を使ったときの目印として「〓」を出しています。
  • 本物のインキづけや圧力の調整は、紙や機械ごとに職人さんの勘が必要です。ゲームでは、ローラー・紙のそろえ・レバーの3つの動きにまとめました。
  • 本物は、ゲラにうつして糸で縛ります(結束)。ゲームでは「版をしめる」ボタン1つにしました。
  • 「かがみ」ボタンはゲームだけの助けです。注文に出てくるお店や人の名前は、すべて作り話です。

見に行く・体験するには

東京都文京区の印刷博物館(TOPPAN小石川ビル内、文京区水道1-3-3)では、古今東西の印刷物や機械・道具の展示にくわえて、活版印刷を中心とした印刷体験が紹介されています。開館日や体験の内容は変わることがあるので、公式サイトで確かめてから出かけましょう。

用語ミニ辞典

文選(ぶんせん)
原稿を見て、活字ケースから必要な活字を拾い出す仕事。
植字(しょくじ)
拾った活字を原稿どおりに、ステッキの上へ並べる仕事。
組版(くみはん)
活字を並べて組み上げた版。また、その作業。
ステッキ
活字を行の形に並べるための、ふちのついた道具。
込め物(こめもの)
字のあいだ・行間・余白にはさむ詰め物。スペース(全角より小さい)・クワタ(全角以上)・インテル(行間)がある。
インテル
行と行のあいだにはさんで、行間をあける薄い板。
クワタ
全角以上の大きさの込め物。余白や、大きなすき間をうめる。
ゲタ(〓)
必要な活字がないとき、代わりに裏返して入れる伏せ字。下駄の歯の形に見える。
ニック
活字の側面にある溝。向きや大きさ、書体の見分けに使う。
ゲラ刷り
組んだ版をためしに刷って、まちがいを確かめるための校正刷り。

参考にした資料

※ゲームでは遊びやすくするため、本物とちがう所があります。

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新ジャンル 10

化石クリーニング

かせきクリーニング

岩の中の化石を、針と粉と根気で少しずつ表に出す、博物館の裏方の仕事。

岩の中にねむっている化石を、道具で少しずつ削って、表に出す。それが化石クリーニングです。博物館の裏側では「プレパレーター」と呼ばれる人たちが、針や小さな機械を使い、ときには何か月もかけて、化石を研究や展示ができる形に整えています。

遊べるゲーム:化石クリーニング 岩から化石をほり出す メンバー限定
遊びのタイプ:ほりだし
岩にうまった化石を、ハンマー・スクライバー・針・筆で少しずつ削り出す。博物館の裏方「プレパレーター」の仕事を体験して、16標本の図鑑を完成させよう。

▶ 「化石クリーニング 岩から化石をほり出す」で遊ぶ
くわしい解説を読む(化石クリーニングってなに?・歴史・本物のやり方・豆知識)

化石クリーニングってなに?

恐竜や貝の化石は、見つかった時点では、まわりの岩(母岩・ぼがん)にうもれていて、中がよく見えません。その岩を取りのぞいて化石を表に出し、研究や展示ができるようにする作業が「化石クリーニング」です。英語では「フォッシル・プレパレーション(fossil preparation)」と呼ばれます。

ロンドンの大英自然史博物館は、化石を掘り出したあとに、化石を包んでいる岩や石こうのジャケットを取りのぞくのが、プレパレーター(化石を整える人)の仕事だと紹介しています。ほかにも、こわれた所の修理や、もろい部分をしっかりさせる作業、しまっておくための入れ物づくりまで、仕事は広いのです。

日本でも、福井県立恐竜博物館などで、本物の道具を使って化石クリーニングを体験できる催しが行われています。

はじまりと歴史(由来)

むかしの化石クリーニングは、ハンマー、タガネ、キリのような手道具でゆっくり進められていました。ハンマーで強くたたくと化石をこわしてしまうことがあったので、とても時間がかかったそうです。

大英自然史博物館では、1874年にリチャード・オーウェンという人が、ケイレブ・バーロウを専門の作業者として雇いました。館が最初に雇った専門のプレパレーターです。当時この仕事の人たちは「石工(いしく)」と呼ばれ、その呼び方は1921年まで続いたと紹介されています。

そのあと、空気の力で先がふるえる道具「エアスクライブ」が使われるようになります。先にタングステンカーバイド(超硬合金)という、とてもかたい金属の針がついていて、目に見えないほど小刻みに、何千回もふるえて岩を細かくくだきます。大英自然史博物館が最初のエアスクライブを手に入れたのは、1911年より後のことだと説明されています。

日本でも工夫は続いています。兵庫県立人と自然の博物館の恐竜ラボでは、プレパレーターが身近な材料から道具を作り、2024年に「和田式エアースクライブ」という世界最小クラスの削岩機が発表されたと、館の広報紙で紹介されています。作業の多くをボランティアの方がささえていることも書かれています。

本物の化石クリーニングのやり方(遊び方)

  1. 掘り出した化石は、まわりの岩ごと石こうなどで固めた「ジャケット」に包んで、研究室へ運びます。
  2. まず大きく岩を取りのぞきます。ハンマーとタガネのほか、空気の力で動くハンマー型の工具も使います。かたい岩をいっきにくずせますが、岩にも骨にも、ひびが入らないよう気をつけます。
  3. 化石に近づいたら、エアスクライブを鉛筆のように持ちます。先を骨とほとんど平行にして、ふるえの力で削ります。骨は岩よりやわらかいことが多いので、道具は骨ではなく岩のほうに当てます。
  4. 細かい所は、顕微鏡(けんびきょう)を見ながら、針で砂つぶを1つずつ取りのぞきます。針は、鋼(はがね)だとやわらかくて細くとがらせやすいけれど、すり減りやすく、超硬だとかたいけれど、欠けやすいという特ちょうがあります。
  5. 岩の種類によっては、うすい酸(お酢のなかまの酢酸など)で少しずつとかす方法もあります。化石に樹脂をぬって守り、数時間ずつ液にひたして、しっかり洗う。これをくり返し、全部で何か月もかかることがあります。
  6. 出てきた粉やかけらは、空気で飛ばして取りのぞきます。作業中は粉や岩のかけらが飛ぶので、目を守るゴーグルやマスク、粉を集める装置を使い、エアスクライブの音には耳を守る道具も大切です。
  7. こわれた所は、あとから外せる(元にもどせる)材料をえらんで、接着します。もろい部分は、補強剤などでしっかりさせます。
  8. 削りすぎにも注意します。むき出しにしすぎると、骨が本来の強さをなくすので、岩の台座を残したり、補強剤やグラスファイバーで支えたりします。

このゲームの遊び方

  1. タイトルで「スタート」を押すと、岩(標本)が出てきます。「図鑑・標本えらび」から、すきな標本を選ぶこともできます。
  2. 岩の上を、指でなぞる(マウスは押したまま動かす)と削れます。下のボタンで道具をえらびます。キーボードなら、矢印で動かし、スペースを押している間削り、1〜5で道具を選びます。
  3. 「ハンマーとタガネ」は、本物の「大きく岩をくずす」作業にあたります。速いけれど割れやすく、ひびが入ると黒い線で見えます。
  4. 化石に近づくと、音と画面のゆれが変わり、「気配」メーターが上がります。気配が強くなったら、ハンマーをやめて「エアスクライバー」に持ちかえましょう。同じ所に止めて押しつけすぎると、化石も削れてしまいます。
  5. 化石が見えてきたら「針」で、きわをていねいに仕上げます。ゆっくりですが、いちばん安全です。
  6. 削ると白い粉が出て、化石をおおいます。「筆」でなでるか「ふーっ(ブロワー)」で粉をはらうと、化石がはっきり見えます。点になるのは「粉をはらって見える面積」です。
  7. ひびが入ったら「接着剤」で、黒い線をなぞって直します。直せますが、少しだけ減点されます。かけて(欠けて)しまった所は直せません。
  8. 「かんせい」ボタンを押すと、展示台でライトアップ。点は「出た面積」×「きずの少なさ」×「のこり時間」で決まり、図鑑に入ります。16この標本を順番に開いていこう。

知るともっと楽しい豆知識

  • 骨が化石になるまでの時間は、条件で大きく変わります。福井県立恐竜博物館のQ&Aによると、短ければ1年未満、長ければ数百万年。石の元になる成分が大量にとけた鉱泉のような場所では、数週間で進むこともあるそうです。
  • 化石になれるのは、かなりラッキーな骨だけ。水辺などで骨が土砂に埋まり、石の成分と置きかわり、地面の動きや風化で地表に出てきて、人に見つけてもらう。どれか1つ欠けても、化石は私たちの前に現れません。
  • 岩の硬さは本当にいろいろです。チョークのようにとてもやわらかい岩から、コンクリートのようにかたい礫(れき)岩、骨にがっちりくっついた鉄分のかたまりまであり、岩に合わせて道具を使い分けます。
  • 岩は、地層が重なった面(層理面)に沿って割れやすい性質があります。葉の化石などは、この面に平行に残っていることが多いので、面に沿って割ると化石が見つかりやすいと、産総研の資料で紹介されています。
  • 顕微鏡を使う細かい作業は、6〜8倍から40倍ほどの範囲の顕微鏡で、ほとんどは細い針を手に持って行うと、アメリカ自然史博物館が説明しています。粉は足で押す空気のペダルで吹き飛ばすこともあります。
  • 福井県立恐竜博物館の化石クリーニング体験では、本物の道具を使って、恐竜の歯のレプリカを石から取り出します。砂やほこりが出るので、マスクを持っていくよう案内されています。
  • 恐竜の歯は、すり減ったり折れたりすると、次の歯が下から出てきて生え替わっていたと考えられています。肉食のティラノサウルスの歯は、ふちにナイフのようなギザギザがありました。植物食のカマラサウルスの歯は、へら(スプーン)のような丈夫な形でした。歯の形は、何を食べていたかの手がかりになります。

ゲームにするときに変えたところ

  • 時間:本物は数時間から数か月、ときには数年かかります。ゲームでは1標本を数分で終わるようにしました。
  • 気配メーター:本物は、道具の手ごたえや音、岩の色や質感、顕微鏡の観察などから、化石が近いことを経験で感じ取ります。ゲームでは見えない化石に近づく楽しさのために、音・ゆれ・メーターで知らせます。
  • 道具の数字:岩の硬さ、化石のもろさ、削る速さなどの数値は、遊びやすさのための設定で、本物の数字ではありません。
  • 化石の絵:ゲームの化石は、特ちょうをわかりやすく描いたオリジナルのイメージで、実在の標本の写真や図ではありません。
  • 接着剤:本物は、あとで外せる材料をえらびます。ゲームでは「直せるけれど少し減点」という遊びにしました。
  • 酸でとかす方法:薬品を使うため、ゲームでは入れていません。
  • 粉のはらい方:本物では、粉を空気で飛ばす道具などが使われます。ゲームでは、筆でなでる動きと、ふーっ(ブロワー)の2つにしました。

見に行く・体験するには

福井県立恐竜博物館(福井県勝山市)は、2000年7月14日に開館しました。化石研究体験のメニューには、本物の道具で恐竜の歯のレプリカを石から取り出す「化石クリーニング」があります。内容・時間・予約・料金は変わることがあるので、行く前に公式サイトで確認してください。

国立科学博物館(東京・上野)の特別展「恐竜博2016」では、化石クリーニングの実演日が設けられ、カナダの技術者が白亜紀の小型の肉食恐竜(サウロルニトレステス)の化石を会場でクリーニングする計画が紹介されていました。展示は期間が決まっているので、最新の情報は各館の公式サイトで確かめましょう。

三笠市立博物館(北海道三笠市)は、北海道産のアンモナイト化石を約600点そろえて展示の中心にしています。化石がどんな姿で見つかるのかを見ると、ゲームの標本もぐっと身近になります。

用語ミニ辞典

プレパレーター(preparator)
化石を岩から取り出して、きれいに整える専門の人。
母岩(ぼがん)/マトリックス
化石を包んでいる、まわりの岩のこと。
エアスクライブ
空気の力で先の針を細かくふるわせて、岩を削る工具。「鉛筆のように」持つ。
ジャケット
掘り出した化石を、まわりの岩ごと石こうなどで固めて包んだもの。運ぶときに守る。
層理面(そうりめん)
地層が重なっている面。岩はこの面に沿って割れやすい。
示準化石(しじゅんかせき)
その地層ができた「時代」を教えてくれる化石。例:アンモナイト・三葉虫。
示相化石(しそうかせき)
その地層ができたときの「環境」を教えてくれる化石。例:サンゴ。
補強剤(ほきょうざい)
もろい化石にしみこませて、かたくする薬剤。英語でコンソリデーント。
顕微鏡(けんびきょう)
小さなものを大きく見る道具。細かい作業では、これを見ながら針で岩を取りのぞく。

参考にした資料

※ゲームでは遊びやすくするため、本物とちがう所があります。

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新ジャンル 11

線香花火

せんこうはなび

小さな火の玉が咲いて、静かに散る。日本の夏の手持ち花火

線香花火は、細い先に火をつけて手に持ち、小さな火の玉から広がる火花をじっと見つめる、日本の手持ち花火です。音も光もひかえめですが、数十秒のあいだに火花のすがたがゆっくり変わっていきます。そのしずけさと、最後の一粒が落ちるまでのドキドキが、昔から人をひきつけてきました。

遊べるゲーム:線香花火 火の玉ながもち 無料
遊びのタイプ:集中・いやし
夏の縁側で線香花火を持ち、風の向きを読んで指をそっと動かし、火の玉を落とさず蕾から散り菊まで見届ける静かな集中ゲーム。解説ガイド付き。

▶ 「線香花火 火の玉ながもち」で遊ぶ
くわしい解説を読む(線香花火ってなに?・歴史・本物のやり方・豆知識)

線香花火ってなに?

線香花火は、こより(細くよった紙)やわらの先に、ほんの少しの火薬をつけた、とても小さな手持ち花火です。火をつけると先に丸い『火の玉』ができ、そこから細かい火花が四方へ広がります。

ほかの花火のように勢いよく噴き出すのではなく、火の玉がふるえながら育ち、火花の形を変えながら、最後は静かに終わります。この変化を、花や木になぞらえて、段階ごとに名前がつけられています。

よく紹介されるのは、火の玉が大きくなる『蕾(つぼみ)』、火花が一つずつはじける『牡丹(ぼたん)』、枝分かれして勢いよく散る『松葉(まつば)』、火花が細く長くしだれる『柳(やなぎ)』、最後に一本ずつ静かに落ちる『散り菊(ちりぎく)』です。

ただし、段階の数え方は資料によって少しちがいます。『蕾・牡丹・松葉・散り菊』の4つで紹介するもの、『牡丹・松葉・柳・散り菊』の4つで紹介するものがあります。このゲームでは、5つに分けて遊びます。

はじまりと歴史(由来)

線香花火が生まれたのは、江戸時代とされています。いつ、だれが作ったのかという記録は残っていません。ただ、1748年に出た絵本『絵本十寸鏡』(西川祐信の絵)に、縁側で線香花火を楽しむ様子が描かれていて、そのころにはもう親しまれていたことがわかります。

花火づくりが広がった背景として、江戸幕府が鉄砲の広まりを厳しく取りしまったため、火薬の扱いになれた砲術師たちが花火を作るようになった、という説明があります。

名前の由来にも説があります。はじめは、わらの先に火薬をつけたものを、香炉や火鉢の灰に立てて眺めていたとされます。その姿が仏壇の線香に似ていたので『線香花火』と呼ばれるようになった、というものです。

1970年代ごろから安い外国製が広まり、国内で作る会社は少なくなりました。1998年には国産の線香花火が市場から消えたと伝えられます。それでも2000年に、東京の花火問屋と愛知県の花火会社が力を合わせて国産を復活させ、いまも国内で作る会社が数社あります。

物理学者の寺田寅彦は、1927年に随筆『線香花火』を発表し、「線香花火は日本人の手で研究したいものだ」という意味のことを書いたと紹介されています。線香花火は、科学者の心もひきつけてきたのです。

本物の線香花火のやり方(遊び方)

  1. 水を入れたバケツを用意します。風の弱い場所で、燃えやすいものから離れて遊びます。花火が禁止の場所や、夜おそい時間は避けます。
  2. 長手(関東で多いタイプ)は、紙のこよりの上のほうを持ち、先を下向きに(斜め下に)たらします。スボ手(関西で多いタイプ)は、わらの持ち手を持ち、火薬のついた先を斜め上(約45度)に向けます。どちらも、ふりまわしたり、顔を近づけたりしてはいけません。
  3. 火をつける前に、長手は火薬の上をかるくねじっておくと、火の玉が落ちにくいと紹介されています。先をななめに傾けて火をつけると、まっすぐ下ろしたまま着火するより、火の玉が落ちにくいとも言われます。
  4. 火がついたら、手首の力をぬいて、できるだけ動かさずに静かに持ちます。火の玉は小さくふるえているので、手がゆれると落ちやすくなります。
  5. 風が強いと火の玉がゆれて落ちやすくなります。ただしスボ手のわらは太さが均一でなく燃えにくいため、ある程度風を当てたほうがよいと言われます。ふしぎですが、東と西で、持ち方も風との付き合い方もちがうのです。
  6. 火花が消えたら、すぐ水の入ったバケツに入れて、火が消えたことを確かめてから片づけます。ごみは持ち帰りましょう。小さな子どもだけで遊ばせず、大人がそばで見守ります。

このゲームの遊び方

  1. 画面を指でおしたままにして(キーボードならSpaceキーを押したまま)、線香花火を持ちます。画面の下のほうをおすと、火の玉が指でかくれません。
  2. 火がつくと火の玉が育ちます。蕾、牡丹、松葉、柳、散り菊の5つの段階で、火花の形・音・色が変わります。全部で約1分です。
  3. 手のふるえや風で、火の玉がゆれます。上に出る風の矢印(向きと強さ)を見て、風と反対がわへ、指をそっと少しだけ動かして打ち消します。キーボードは左右の矢印キーです。
  4. 指を急に動かすと、かえって大きくゆれます。指をはなすのもだめ。風の矢印の下にある『ゆれメーター』が赤いところまで行くと、火の玉がポトリと落ちます。
  5. 持ち方は『長手(下向き)』と『スボ手(斜め上)』から選べます。ゆれ方と風の受け方がちがいます。
  6. 散り菊まで落とさずに燃え尽きたら大成功です。燃えた長さと、各段階での落ち着きぐあいで点数が決まります。

知るともっと楽しい豆知識

  • 火の玉は、小さいのにとても熱いものです。研究では、火の玉の温度はおよそ850〜880℃と報告されています。飛び出した火花のつぶは、さらに高い1000℃以上になるとも報告されています。
  • 火の玉は、じっとしているようで小さくふるえています。玉の中の気泡がはじけて、表面の形がいつも変わっているからです。だから、持つ手がゆれると落ちやすくなります。
  • 『松葉』の形の秘密を、東京大学などの研究グループが調べました。毎秒10万コマの高速度カメラで撮影したところ、火の玉から飛び出した直径約0.1ミリの小さな液のつぶが、最大8回ほど次々に二つに裂けて、枝分かれした火花の筋になることがわかりました(2017年発表)。
  • 一方、火花が枝分かれせずに『柳』のようにたれる仕組みは、この研究の時点では未解明で、今後の課題とされていました。
  • 寺田寅彦は、線香花火の燃え方に『序破急』や『起承転結』があるように見えると書いた、と紹介されています。蕾から散り菊までの変化を、人生になぞらえる人もいます。
  • 関東で紙のこよりが広まったのは、関東では紙すきがさかんで、わらの代わりに紙が使われたから、という説明があります。逆に米どころの関西では、わらが豊富でした。
  • 東の長手と西のスボ手の境目はどこでしょう。2016年に岐阜県の関ケ原町がまとめた報告書では、関ケ原のあたりが境目と考えられる、と書かれたそうです。
  • いま国内で線香花火を作る会社は3社ほどで、市場に出回る線香花火の大半は輸入品、と紹介されています。わらを使うスボ手を作っているのは、福岡県の一か所だけだそうです。

ゲームにするときに変えたところ

  • 本物は、手のふるえや風や、こよりの強さなど、いろいろな理由で火の玉が落ちます。ゲームでは『指をおしたまま、風と反対へそっと動かす』という、画面でできる操作にしました。
  • 風の向きと強さを知らせる矢印は、遊びやすくするためのゲームだけの表示です。本物の花火に矢印はありません。
  • 燃える時間は、本物では製品や風で変わります。ゲームでは約1分になるようにそろえました。
  • 段階の数え方は資料によってちがうため、このゲームでは『蕾・牡丹・松葉・柳・散り菊』の5つにしました。
  • スボ手は、本物では風を当てるほうが燃えやすいのですが、ゲームでは『斜め上に向けていて、ゆれ方がちがう』というちがいだけを取り入れています。
  • 火花の動きは、雰囲気を出すために作った絵です。本物の動きを計算したものではありません。火薬のくわしい中身や作り方は、危ないので書いていません。本物の花火で遊ぶときは、大人がそばにいて、安全なルールを守ってください。

用語ミニ辞典

火の玉(ひのたま)
火をつけた先にできる、オレンジ色に光る小さな丸い玉。小さくふるえている。
蕾(つぼみ)
火をつけた直後、火の玉がだんだん大きくなる段階。花が咲く前のすがたにたとえた名前。
牡丹(ぼたん)
火の玉から、火花が一つずつ力強くはじけ始める段階。大きくて華やかな花の名前から。
松葉(まつば)
火花が枝分かれして、四方に勢いよく散る段階。松の葉に似た形から。
柳(やなぎ)
音が静かになり、火花が細く長く、下へしだれる段階。柳の枝にたとえた名前。
散り菊(ちりぎく)
火花が一本ずつ静かに落ちて、最後に火の玉が消える段階。菊の花びらが散るすがた。
長手(ながて)
紙のこよりの先に火薬をつけたタイプ。関東を中心に広まり、先を下向きに持つ。
スボ手(すぼて)
わらの先に火薬をつけたタイプ。関西を中心に広まり、先を斜め上に向けて持つ。
こより(紙縒り)
紙を細くねじって、ひものようにしたもの。長手の線香花火の軸になる。
香炉(こうろ)
線香を立てて香りを楽しむための入れもの。昔は花火をここに立てて眺めたと言われる。

参考にした資料

※ゲームでは遊びやすくするため、本物とちがう所があります。

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新ジャンル 12

ベーゴマ

べーごま

鉄の小さなコマを、床の上でぶつけ合う。昭和の子どもたちの熱い遊び

ベーゴマは、鉄でできた小さなコマです。ひもをぐるっと巻いて引き、「床(とこ)」という台の上で回して、ほかのコマとぶつけ合います。最後まで回っていたコマや、相手を床の外へはじき出したコマの勝ち。むかしの子どもたちが夢中になった遊びで、いまも体験できる場所があります。

遊べるゲーム:ベーゴマ 床で回しあい メンバー限定
遊びのタイプ:対戦アクション
昭和の子どもの遊び「ベーゴマ」を床の上で対戦!ひもを巻いて投げ、カチンとぶつけて相手をはじき出そう。コマをけずって強くする全12戦。

▶ 「ベーゴマ 床で回しあい」で遊ぶ
くわしい解説を読む(ベーゴマってなに?・歴史・本物のやり方・豆知識)

ベーゴマってなに?

ベーゴマは、手のひらにのる、直径3センチ前後の鉄のコマです。ふつうのコマと同じように回して遊びますが、上に軸(じく)がとび出していない、平たい形をしています。そのため、ふつうのコマとはちがう、ひもの巻き方のコツがあります。

遊ぶときは、ひもを巻いて勢いよく引き、「床」と呼ばれる台の上で、何人かが同時に回します。コマ同士がぶつかり、床の外へはじき出されたり、先に止まったりした方が負け。最後まで回っていたコマが勝ちです。

ベーゴマには、背の高さや大きさのちがう種類があります。背の低い「ペチャ」、少し高い「中高(ちゅうだか)」、大きくて背の高い「高王(こうおう)」などです。コマの上の面には、模様や、そのころ子どもたちに人気だった人の名前が、鋳(い)出されているものもありました。

はじまりと歴史(由来)

名前のもとは「バイ」という巻き貝です。むかしの子どもたちは、バイ貝の殻に砂や粘土をつめ、ひもで回して遊んだとされ、そのコマを「バイゴマ」と呼びました。これが「ベーゴマ」になまった、と考えられています。かわぐち広報(川口市)には、はじまりは平安時代とあります。ただし、百科事典(ウィキペディア)には、平安時代からあったという根拠は確認されていない、という説明もあります。

本で確かめられるいちばん古い記録は、1603年にできた『日葡辞書(にっぽじしょ)』で、子どもたちがコマとして使う、と書かれているそうです。江戸時代には「ばいまわし」などと呼ばれていました。

のちに、とかした鉄を型に流しこむ「鋳物(いもの)」でつくった鉄のコマが、貝のコマに取ってかわりました。かわぐち広報には、鉄のベーゴマは明治の終わりごろから、鋳物工場でつくられたとあります。

ベーゴマは、大正時代から高度経済成長のころにかけて、子どもたちにさかんに遊ばれました。かわぐち広報には、昭和20〜30年代にとくに流行したとあります。戦争中の1941年には、鉄や銅などの金属を国に出させる「金属類回収令」が9月から実施されました。この影響で、鉄のベーゴマのかわりに、割れやすい瀬戸物(陶器)のコマが使われたと伝えられています。

いま、ベーゴマの本場として知られるのは埼玉県川口市です。川口は「鋳物の街」で、昭和の中ごろには鋳物に関係する会社が市内に約600社あったと、NEXCO東日本の旅の記事は伝えています。その後ベーゴマをつくる工場は減り、日本のベーゴマの専門メーカーは川口市の1社だけになった、と埼玉県の番組紹介(2024年1月)にあります。

本物のベーゴマのやり方(遊び方)

  1. 床(とこ)を用意します。バケツやタルの口に、布やシーツを少したるませて張った台がよく使われます(関東のやり方)。関西では、ゴザを台にかぶせる地域もあります。
  2. ひもを巻きます。ひものはしに結び目(こぶ)を2つつくり、ベーゴマにかけて、まず1回、ぎゅっと強く巻きます。そのあとは、少しゆるめに軽く巻いていきます。巻き方には「女巻き」「男巻き」などがあり、男巻きは、コマの先から十字に巻いてからうずまき状に巻きます。
  3. かまえます。右足を床のできるだけ近くに出し、腰を低くして、ベーゴマを床のまん中へそっと置くつもりで、前にすべらせます。
  4. かけ声で、いっせいに。「チッチのチ」というかけ声に合わせて、みんなが同時にひもを引き、ベーゴマを床へ入れます。
  5. ぶつけ合って勝負。床の上で、最後まで回っていたコマの勝ち。ほかのコマを床の外へはじき出しても勝ちです。

このゲームの遊び方

  1. はじめに「ひも巻き」。画面のコマのまわりにある丸い線に沿って、指でぐるっと3回なぞります。線からはずれず、同じ速さで、すばやくなぞるほど、きれいに巻けて強い回転がつきます。キーボードなら、指のしるしが●に来たときに Space キーを押します。
  2. つぎは「投げる」。床に向かって、指をさっと払うようにスワイプします。指を動かす向きと長さで落とす場所が決まり、はやさで勢い(いきおい)が決まります。キーボードなら、矢印でねらい、Space を押して力をため、はなして投げます。
  3. 投げる前に、相手のコマの位置と進む向きが、うすい絵と矢印で見えます。ぶつけに行くか、まん中で待つか、作戦を立ててみましょう。
  4. 投げたあとは見守る時間です。ぶつかると「カチン!」と火花が飛びます。最後まで回っていたコマ、または相手を床の外へはじき出したコマが勝ちです。
  5. 勝つと「勝ち星」がもらえます。勝ち星で、コマを「けずる」ことができます。背を低くすると安定しますが回しにくく、角をとがらせると相手の回転をうばえますが自分もすり減り、重くすると押し合いに強くなりますが回転が出しにくくなります。
  6. 全12戦のほか、戦ったことのある相手をえらんで、何度でも練習できる「じゆうたいせん」があります。2人の相手と同時に戦う「三つどもえ」もあります。

知るともっと楽しい豆知識

  • ベーゴマは、上に軸がとび出していないため、ふつうの投げゴマのような巻き方ができません。だから、ひもの巻き方に、ベーゴマならではのコツがあります。
  • 子どもたちは、買ってきたベーゴマをヤスリでけずって、自分だけの形に作り変えました。円すいの部分をけずって背を低くしたり、上の面に金属やロウを流しこんで重くしたりしたそうです。けずりすぎたり、流しこみがかたよったりすると回らなくなるので、経験がものをいいました。金属をとかす作業はとても危険なので、まねしないでね。
  • 背が低いベーゴマは回しにくいのですが、重心が低いので、ぶつけ合いでは背の高いものより有利だといわれます。
  • 昔のベーゴマの上の面には、模様のほか、子どもたちに人気だった人の名前が、鋳(い)出されているものもありました(岐阜市歴史博物館の資料)。
  • むかしは、最後まで回っていた人が、相手のコマをもらう「本気(ほんき)勝負」という遊び方もありました。このゲームには、コマのとり合いはありません。
  • いまは、マニキュアなどで色をつけてかざった「デコベー(デコレーションベーゴマ)」も人気です。NEXCO東日本の取材記事によると、川口市郷土資料館では、学校帰りの小学生や中学生がベーゴマで遊んでいたそうです。
  • 東京都練馬区では、2018年3月に、児童館や学童クラブごとにチームをつくる施設対抗のベーゴマ交流会が開かれ、50人の子どもが参加しました(区の報道発表)。

ゲームにするときに変えたところ

  • 本物は、みんなで同時に床へ入れます。ゲームでは、投げる前に相手のコマの位置と進む向きが見えるようにして、作戦を立てやすくしました。
  • 本物の床は、布を少したるませて張った台です。ゲームでは、そのイメージを「床がゆるくへこんでいて、コマがまん中へ引きもどされる」しくみにして、真上から見た図で表しました。
  • ぶつかり合いの物理は、回転の強さ・重さ・背の高さ・角のとがり方だけを使った、かんたんな計算にしています。本物はもっと複雑です。
  • ひも巻きは、本物の結び目や巻き方の手順を、指でなぞる遊びに変えました。
  • 勝った人が相手のコマをもらうことは、ゲームにはありません。そのかわりに「勝ち星」をもらって、自分のコマを強くします。
  • 「けずる」は画面の中だけのことです。本物のヤスリがけや金属の加工は、ケガややけどの危険があるので、おとなといっしょに、安全な場所でやりましょう。

見に行く・体験するには

  • 埼玉県川口市の郷土資料館(川口市立文化財センター分館)の3階に、展示数日本一をうたう「ベーゴマ資料館」があります。江戸時代から令和までのベーゴマ800点を間近で見られ、実際に回して遊べます(2026年4月の埼玉県の広報より)。休館日や料金は、行く前に公式の案内で確かめてね。
  • 埼玉県立歴史と民俗の博物館(さいたま市大宮区)の「昭和の原っぱ」では、けん玉やフラフープなどと並んで、ベーゴマも遊べます(同じ広報より)。
  • 各地の児童館や小学校、図書館などで、ベーゴマ教室や大会が開かれることがあります。お住まいの市区町村の案内を、のぞいてみてください。

用語ミニ辞典

ベーゴマ(べーごま)
鉄でできた小さなコマ。名前は「バイゴマ」がなまったとされる。
バイ貝(ばいがい)
巻き貝の一種。むかしは、この殻に砂や粘土をつめてコマにした。
床(とこ)
ベーゴマを回す台。バケツやタルの口に布を張ってつくる。
鋳物(いもの)
とかした金属を型に流しこんで、かためてつくったもの。
女巻き・男巻き(おんなまき・おとこまき)
ひもの巻き方の種類。男巻きは、コマの先から十字に巻いてからうずまき状に巻く。
高王・中高・ペチャ(こうおう・ちゅうだか・ぺちゃ)
ベーゴマの背の高さによる種類の名前。ペチャがいちばん低い。
心棒(しんぼう)
ふつうのコマの中心にある軸。ベーゴマは、この軸が外へ出ていない。
本気勝負(ほんきしょうぶ)
むかしあった、勝った人が相手のコマをもらう遊び方。このゲームにはない。
デコベー
マニキュアなどで色をつけて、かざったベーゴマ。
チッチのチ
みんなが同時に床へ入れるときの、かけ声のひとつ。

参考にした資料

※ゲームでは遊びやすくするため、本物とちがう所があります。

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新ジャンル 13

ぬか床

ぬかどこ

米ぬかにすむ小さな菌が、野菜をおいしく変える。毎日まぜて育てる、日本の発酵のおうち。

ぬか床(ぬかどこ)は、お米のぬかに塩と水をまぜて、小さな菌といっしょに育てる「発酵のおうち」です。この中に野菜をうめておくと、しゃきっとして、ほんのりすっぱくて、うまみのあるぬか漬けになります。台所のすみで、目に見えないほど小さな生き物たちがはたらいている、とても日本らしい食べ物です。

遊べるゲーム:ぬか床そだて 毎日まぜて漬けもの メンバー限定
遊びのタイプ:育てる×けいえい
ぬか床を30日そだてて、おいしいぬか漬けを作る発酵の育成ゲーム。ぐるぐるまぜて空気を入れ、乳酸菌とくさい菌のバランスを整えて、注文どおりの漬かり具合で出そう。

▶ 「ぬか床そだて 毎日まぜて漬けもの」で遊ぶ
くわしい解説を読む(ぬか床ってなに?・歴史・本物のやり方・豆知識)

「ぬか床」ってなに?

「ぬか」は、玄米(げんまい)をみがいて白いお米(白米)にするときに出る副産物(ふくさんぶつ)で、栄養がたっぷり含まれています。このぬかに塩と水を加えて発酵させたものが「ぬか床」、そこに野菜などを漬けたものが「ぬか漬け」です。

ぬか床の中では、おもに乳酸菌(にゅうさんきん)と酵母(こうぼ)という、とても小さな生き物(微生物)がはたらいています。「表面に産膜酵母(さんまくこうぼ)やカビ、中のほうに乳酸菌がすむ」と大まかに考えられている、と漬物メーカーの研究発表で紹介されています(ただし、この発表は、その考え方をたしかめ直す内容です)。

ぬか味噌に食べ物を漬けると、ぬかの栄養が食べ物にうつり、発酵によって新しい栄養や、もとの材料にはなかった風味も加わる、と農林水産省の資料に書かれています。味は地域や家庭ごとにちがうのも、ぬか床のおもしろいところです。

はじまりと歴史(由来)

漬物の歴史はとても古く、縄文時代にはもう野菜の皮を塩漬けにしていたとされています。記録に最初に出てくるのは、天平(てんぴょう)時代の木簡(もっかん=木の札)に書かれた「ウリの塩漬け」で、平安時代の『延喜式(えんぎしき)』には、酢漬け・醤(ひしお)漬け・かす漬け、そして「須々保利(すずぼり)」などが書かれています(農林水産省)。

「須須保利(すずほり)」は平城京あとから出た木簡にも名前が見える漬物で、百科事典には「ぬか漬けの原型と推定されている」とあります(農林水産省は、たくあんの原形ともみられるとしています)。今のようなぬか漬けの形ができたのは、江戸時代のはじめごろといわれています。

ぬか漬けが広まったのは江戸時代以降です。精米の技術が進み、都市で白米を食べる人がふえると、大量のぬかが出るようになりました。そのぬかの上手な使い道として広まったとされています。かつては、ごはん・みそ汁・ぬか漬けが庶民の食事の基本でした(nippon.com)。

白いお米ばかり食べて脚気(かっけ)になる人が多く、これは「江戸患い(わずらい)」と呼ばれました。ぬか漬けを作る間にぬかのビタミンB1が野菜にうつるので、ぬか漬けが脚気をある程度ふせぐと考えられ、好まれるようになった、と百科事典に書かれています。

本物の「ぬか床」のやり方(遊び方)

  1. いりぬか(からいりしたぬか)1kgに対して、塩150gを水5カップにとかした塩水をつくります(味の素のレシピの分量)。
  2. 塩水を数回に分けてぬかに加えてまぜ、全体がしっとりして、手でにぎるとまとまるくらいにします。
  3. 「捨て漬け」をします。キャベツなど水分の出やすい葉野菜を塩でもんで、ぬか床の中央にうめます。
  4. 2〜3日して野菜がしんなりしたら取り出して捨て、新しい野菜に替えます。これを、ぬか床がなめらかになるまで約2週間くり返します。野菜から来る乳酸菌などがふえて、ぬか床が育っていくとされています。
  5. 毎日、底のほうから大きくかきまぜます(味の素のレシピでは1日2回)。ふたをして、冷暗所に置きます。
  6. ぬか床ができたら、塩をすりこんだ野菜をうめて漬けます。味の素のレシピでは、きゅうりは3時間〜ひと晩、なすは半日〜ひと晩が目安です。野菜の大きさや温度で変わります。

このゲームの遊び方

  1. ぬか床の断面を見ながら、指でぐるぐるまぜます(「まぜる」ボタンなら、おまかせでまぜてくれます)。底まで混ぜると空気が入り、くさい菌がへります。本物の「かきまぜ」を、ゲームでは「空気を入れる」におきかえています。
  2. 下のボタンで「塩」「足しぬか」「水けとり」。ゲージが緑のゾーンに入るようにととのえて、ぬか床を元気にします。
  3. 1〜2日目は「すて野菜」で捨て漬けの練習。3日目から、注文カードの野菜を、下の「ざる」からぬか床へ入れます。
  4. 野菜の下のゲージが金色の「ほどよい」ゾーンになったらタップして取り出し、お客さんにお届け。注文の漬かり具合(浅漬け・ほどよい・しっかり)にぴったりで、ぬか床も元気だと、★3つで評判が大きく上がります。
  5. 気温は30日のあいだに春→夏→秋と変わります。暑い日は菌も漬かるのも早い! まぜ忘れると、くさい菌がふえて味が落ちるので、こまめにお世話しましょう。
  6. 「ねる」ボタンで1日を早送りできます。30日目までに評判をためて、★3つをめざそう。

知るともっと楽しい豆知識

  • 作りはじめのぬか床では、土にいた大腸菌が約8割をしめますが、1か月ほどでほとんど消えて、乳酸菌が主役になる、と百科事典に書かれています。乳酸と食塩が、わるい菌をおさえるはたらきをします。
  • ぬか漬けをやめてしまう理由として、「毎日かきまぜられない」「かきまぜを忘れてかびてしまった」「手間がかかる」「手がにおう」などが挙げられています。2005年の埼玉県の研究報告のアンケート(20〜60代の女性54人)では、「漬けている」人が49%、「漬けていたがやめた」人が44%、「漬けたことがない」人が7%でした。
  • なすの紫色は「ナスニン」というアントシアン系の色素です。酸性では赤っぽく、中性で紫、アルカリ性で青っぽく変わります(横浜市衛生研究所)。古い鉄くぎやミョウバンをぬか床に入れると、鉄やアルミニウムのイオンが色素とむすびついて、より鮮やかな青紫になることが知られています。ただしミョウバンは入れすぎると味が悪くなるそうです(百科事典)。
  • かきまぜをやめると、ぬか床の中身は変わります。40日の実験で、かきまぜなかったぬか床では、上のほうの菌が限られた種類に占められ、傷んだ味の原因になる酵母かもしれないと報告されています(東海漬物 2022)。かきまぜは空気(酸素)を届ける役目もあると考えられています。
  • ぬか漬けのなかまはたくさん。たくあん(大根をぬか味噌に漬けた代表的な漬物)、秋田県のいぶりがっこ(いろりの煙でいぶして干した大根)、鹿児島県の山川漬(壺で4か月ほど発酵)、北海道のぬかにしん(江戸時代に、にしんを日持ちさせるために生まれたと言われる)など(農林水産省)。
  • ぬか漬けの香りは、乳酸菌と酵母がいっしょにはたらくと出てくる成分が関わると考えられています。液体のぬか床の研究では、乳酸菌と酵母をいっしょに育てたときだけ、イソ酪酸(らくさん)とイソ吉草酸(きっそうさん)が見つかりました(東海漬物 2016)。
  • ぬか床の味は、使うぬかでもちがいます。学生の研究では、ハトムギぬかは「うまみが強く雑味が少ない」、米ぬかは「くせがなく食べやすい」、麦ぬかは「独特の香りが強い」と評価されました(秋田県立大学のリポジトリ)。

ゲームにするときに変えたところ

時間:本物のぬか床は、何か月も何年も育てます。ゲームでは1日を30〜60秒、全部で30日にぎゅっと縮め、季節も春→夏→秋と早まわしにしています。

菌の姿:本物の菌は目に見えません。ゲームでは、乳酸菌(水色)・酵母(黄色)・くさい菌(紫)・白い膜(白)をキャラクターにしました。「くさい菌」は特定の菌の名前ではなく、空気が足りないときににおいが強くなる状態を表す、ゲーム用の設定です。

ゲージ:すっぱさ・かおり・空気・水け・塩・ぬかのゲージと、緑のゾーンは、わかりやすくした遊びの目安です。実験で測った正解の数字ではありません。

漬け時間:きゅうりは約0.7日、だいこんは約2.4日など、野菜ごとの数字はゲーム用です。本物は季節・切り方・ぬか床のようすで変わります。

白い膜:本物では、出方や取りのぞき方の考え方が家庭や資料によってちがいます。ゲームでは「まぜてうめる/タップでとる」に単純化しました。

安心のために:ゲームは失敗しても続けられますが、本物のぬか床で、においや見た目に不安があるときは、無理に食べずに、食品メーカーなどの案内を確認してください。

注文:お客さんの注文カードはゲームの設定です。野菜ごとに「浅漬け・ほどよい漬け・しっかり漬け」のゾーンを決めて遊びやすくしました。実際には、好みの漬かり具合は人それぞれです。

用語ミニ辞典

ぬか床(ぬかどこ)
米ぬかに塩と水を加えて発酵させた、野菜を漬けるための床。
ぬか(米ぬか)
玄米をみがいて白米にするときに出る、栄養が多い副産物。
乳酸菌(にゅうさんきん)
乳酸をつくる菌。すっぱさやうまみのもとで、ぬか床の中ほどで大事なはたらきをすると考えられている。
酵母(こうぼ)
発酵で香りなどをつくる微生物。ぬか床の香りにも関わる。
産膜酵母(さんまくこうぼ)
ぬか床の表面にできやすい、白っぽい膜をつくる酵母。
捨て漬け(すてづけ)
ぬか床を育てるために、野菜を漬けては取り出して捨てる作業。
足しぬか(たしぬか)
ぬかが減ったときに、新しいぬか(と塩)を足すこと。
ナスニン
なすの紫色のもとになる、アントシアン系の色素。
発酵(はっこう)
微生物のはたらきで、食べ物の味や香りが変わること。

参考にした資料

※ゲームでは遊びやすくするため、本物とちがう所があります。

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新ジャンル 14

金継ぎ

きんつぎ

われた器を、金でなおして もっと美しく。日本の修理の技です。

金継ぎ(きんつぎ)は、われたり欠けたりした器を漆(うるし)でつなぎ直し、つなぎ目を金などの粉で飾る、日本の修理の技です。傷をかくさず「景色(けしき)」として楽しむ考え方が、いまは世界でも注目されています。このガイドでは、本物の金継ぎのしくみと、ゲームの遊び方を、やさしく紹介します。

遊べるゲーム:金継ぎ 割れたうつわを金でなおす メンバー限定
遊びのタイプ:組み立て×なぞり
割れたうつわを漆でつなぎ、金粉で仕上げる日本の修理技「金継ぎ」を体験。つなぐ・乾かす・金をまく・みがく。15のうつわを、世界にひとつの景色に。

▶ 「金継ぎ 割れたうつわを金でなおす」で遊ぶ
くわしい解説を読む(金継ぎってなに?・歴史・本物のやり方・豆知識)

金継ぎってなに?

金継ぎは、われたり欠けたりした焼きもの(陶磁器)を、漆(うるし)という天然の接着剤でつなぎ、つなぎ目に金や銀の粉をつけて仕上げる、日本の伝統的な修理の方法です。むかしは「金繕い(きんつくろい)」とも呼ばれました。

ふつうの修理は、なおした所が目立たないようにします。金継ぎは反対です。われた線をそのまま金色の模様にして、その器だけの新しい姿にします。傷を「景色(けしき)」と呼んで楽しむ見方があり、こわれたことも器の歴史のひとつとして受け入れる考え方です。

漆は、ウルシの木の樹液からつくります。つやがあり、丈夫で、熱や湿気にも強い材料です。この漆に小麦粉をまぜると接着剤の「麦漆(むぎうるし)」に、砥の粉(とのこ)という細かい粉をまぜると、へこみを埋める「錆漆(さびうるし)」になります。

はじまりと歴史(由来)

漆は、日本ではとても古くから使われてきました。福井県の鳥浜貝塚からは、約12600年前の日本最古のウルシ材が見つかっています。北海道の垣ノ島B遺跡で見つかった約9000年前(縄文時代早期)の漆の製品は、日本で最も古く、世界でも最古の発見例とされています。

では、金継ぎはいつ始まったのでしょう。じつは、はっきりとは分かっていません。有名な話はあります。室町時代の将軍・足利義政(あしかが よしまさ)が持っていた中国の青磁(せいじ)の茶碗の底にひびが入り、中国へ送ったところ、「鎹(かすがい)」という金具でひびをとめて日本へ戻ってきました(代わりの茶碗を探してもらうために送った、と伝える資料もあります)。その金具が大きなイナゴ(蝗)のように見えたので、茶碗は「馬蝗絆(ばこうはん)」と呼ばれるようになった、という伝えです。

この馬蝗絆は、南宋時代(13世紀)に中国の龍泉窯(りゅうせんよう)でつくられた茶碗で、いまは東京国立博物館が持つ重要文化財です。ただし、この出来事が金継ぎの始まりだったのかは、はっきりしません。「義政が、金具よりきれいな直し方を日本の職人にたのんだ」という説も、どこまで本当かは分からないとされています。

いつ広まったのかも、はっきりしません。茶の湯(ちゃのゆ=茶道)の文化は、16世紀に千利休(せんの りきゅう)が完成させたとされ、金継ぎはその中で育った日本ならではの技として紹介されることがあります。千利休が金継ぎを高く評価した、という話もあります。簡素さや古びた味わいを大切にする「わび・さび」の考え方と結びつけて語られることも、多くあります。

海外でも関心が広がっています。2019年には、アメリカのサンダンス映画祭でショートフィルム『Kintsugi』が上映され、その年の終わりには、ロサンゼルスに金継ぎを教える学校もできたと、政府広報オンラインが紹介しています。海外の教室では、かぶれのおそれがある漆のかわりに、植物からつくった樹脂などを使うこともあるそうです。

本物の金継ぎのやり方(遊び方)

  1. 器のかけらの切り口をととのえ、生漆(きうるし)をぬって、半日から1日ほど乾かします。
  2. 小麦粉を水でねって生漆をまぜた「麦漆」で、かけらをはり合わせます。
  3. 欠けた所は、小麦粉や木の粉・綿などを生漆でまぜた「刻苧漆(こくそうるし)」で形をつくって埋めます。
  4. でこぼこは「錆漆」でならし、乾いたら磨き粉で平らにします。
  5. 漆をぬるたびに「漆室(うるしむろ)」という、湿度と温度を保てる箱で乾かします。漆は、湿気の中で固まる材料だからです。
  6. 弁柄漆(べんがらうるし)という赤い漆を塗り、その上に金粉(銀粉などもあります)をまきます。
  7. 乾いたら金粉をみがいて光らせ、透明な漆(透漆)で上塗りをします。細かく数えると10をこえる作業があり、数週間かかります。

このゲームの遊び方

  1. タイトルで「むずかしさ」を選んで「スタート」。作品棚から、なおしたいうつわをタップします。15このうつわが、順番に開いていきます。
  2. 【①くみたて】バラバラのかけらをドラッグして、台の上へ。回すには「↺↻」ボタン、キーボードの Q/E、スマホは2本ゆびでひねります。位置と向きがぴったり合うと吸いつきます。ヒビだけ・欠けだけのうつわには、この作業はありません。
  3. 【②つなぐ】光っているわれ目を、漆の筆でなぞります。筆はゆっくり動かすと太く、はやいと細くなります。同じはやさで進むと、太さがそろってきれいです。欠けたうつわは、欠けた所をぬりつぶします。
  4. 【③かわかす】温度と湿度の「つまみ」を動かして、ゲージをみどりのはんいに入れます。入っている間だけ、漆が固まります。ときどき、すきま風や雨のにおいで数字が動くので、つまみで直します。「はやおくり」で時間を進められます。
  5. 【④金をまく】漆の線に、タップかドラッグで金粉をふりかけます。まんべんなく、でも同じ所にかけすぎないようにします。
  6. 【⑤みがく】金の線を指でこすって、ピカピカにします。
  7. できあがると、うつわがゆっくり回るお披露目です。出来ばえで★がつき、作品棚にならびます。同じうつわを、ちがうむずかしさで何度でも直せます。途中でやめても、タイトルの「つづきから」で再開できます。

知るともっと楽しい豆知識

  • 漆は、絵の具のように水分が蒸発して乾くのではありません。漆の中の酵素(ラッカーゼ)が空気中の酸素を取りこんで、漆の主成分(ウルシオール)を網の目のようにつなげて固めます。だから、乾かすには空気中の水分(湿度)が必要です。
  • 漆がよく固まる条件は、気温20〜25℃、湿度60〜80%くらいとされています(東京文化財研究所の論文)。香川県の資料では、25℃くらい・湿度75%くらいとされています。条件から大きく外れると、固まらないこともあります。ゲームの「ふつう」では、20〜25℃・60〜80%がそのままみどりのはんいです。
  • 漆が固まる様子は、段階で呼び分けます。息をかけるとくもる「息乾燥」、指でさわってもベタつかない「指触乾燥」、爪でおしても跡が残らない「硬化乾燥」の順です。
  • かわく前の漆にさわると、かぶれることがあります。原因は主成分のウルシオールです。同じ種類の成分による皮ふ炎では、さわってから8〜48時間後に、かゆみや赤み、水ぶくれが出ることがあると医学の解説にあります。しっかり固まった漆はかぶれにくいとされますが、本物の漆を使うときは、必ず経験のある人の指導を受けてください。
  • 日本で使われる漆の多くは外国産です。2021年の国産漆の生産量は約2.0トンで、その約82%が岩手県の北部でとれました。流通する漆のうち国産は約9%とされています。国宝や重要文化財の建造物を修理するときは、原則として国産の漆を使う方針です(文化庁、2018年度から)。
  • 漆の木から漆をとる作業を「漆掻き(うるしかき)」といいます。時期は、例年6月なかばから10月ごろまで。農林水産省の資料では、最盛期で1本の木から約180〜200グラムとされています(別の資料では、1本から約200ミリリットルともあります)。
  • ほかの器のかけらをつなぐ「呼び継ぎ(よびつぎ)」という方法もあります。ちがう器のかけらを合わせて、パッチワークのような景色をつくります。
  • 豊臣秀吉が気に入っていた茶碗「筒井筒(つついづつ)」を小姓(こしょう)が割ってしまい、細川幽斎(ほそかわ ゆうさい)が和歌を詠んで救い、のちに金継ぎで直した、という言い伝えがあります。この茶碗は昭和25年に重要文化財になりました。
  • 金のほかに、銀の粉で仕上げる「銀継ぎ」もあります。いまは、天然の漆のかわりに、瞬間接着剤でつけて、食品衛生法に合う合成の漆で仕上げる「簡易金継ぎ」もあります(天然の漆とは別のものです)。

ゲームにするときに変えたところ

本物の金継ぎは、数週間かけて、10をこえる作業をくり返します。ゲームでは遊びやすいように5つの工程にまとめ、1つのうつわを3〜5分で直せるようにしました。透明な漆の上塗りなど、省いた作業もあります。

本物は、漆をぬるたびに何日も乾かします。ゲームでは「はやおくり」で時間を進め、乾かす作業を1回にまとめました。温度と湿度の「つまみ」もゲーム用のしかけで、本物は漆室という箱で、乾く様子を見ながら管理します。数字は目安で、季節や漆の種類で変わります。

筆の太さが速さで変わる、金粉をタップでまく、指でこすってみがく、といった操作は、ゲームのために考えたものです。本物の道具や手の動きとは、ちがいます。

うつわの形、われ方、もようは、すべてゲームの中でつくった作り物で、実在のうつわではありません。

ゲームの漆は、さわってもかぶれません。でも本物の漆は、かぶれることがあります。自分で試すときは、教室や体験講座など、安全に気をつけた場所で、指導を受けてください。

見に行く・体験するには

馬蝗絆(青磁茶碗)は、東京国立博物館が持つ重要文化財です。展示されているかどうかは時期によって変わるので、行く前に博物館の公式サイトで確認しましょう。画像と解説は、国立文化財機構の「e国宝」でも見られます。

お住まいの地域の博物館や公民館、工芸の施設などで、金継ぎや漆の体験講座が開かれることがあります。申しこむ前に、使う材料が本物の漆か、かぶれにくい代わりの材料かを確かめましょう。

国産漆の多くがとれる岩手県北部の二戸市には、約13万5千本のウルシの木があると、調査で確認されています(2017年度)。

用語ミニ辞典

漆(うるし)
ウルシの木の樹液からつくる天然の塗料・接着剤。固まると丈夫になる。
麦漆(むぎうるし)
小麦粉と生漆をまぜた接着剤。かけらをはり合わせる。
錆漆(さびうるし)
砥の粉と生漆をまぜたもの。へこみやでこぼこをならす。
刻苧漆(こくそうるし)
小麦粉・木の粉・綿などと生漆をまぜた、欠けを埋める材料。
ウルシオール
漆の主成分。固まるもとであり、かぶれの原因にもなる。
漆室(うるしむろ)
漆を乾かすための、湿度と温度を保てる箱。漆風呂(うるしぶろ)ともいう。
景色(けしき)
傷や金の線などを、器の見どころとして味わう見方。
呼び継ぎ(よびつぎ)
ほかの器のかけらをつないで直す方法。
わび・さび
簡素さや、古びた味わいに美しさを見つける日本の考え方。
鎹(かすがい)
割れた器などをとめる、コの字形の金具。

参考にした資料

※ゲームでは遊びやすくするため、本物とちがう所があります。

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新ジャンル 15

鷹匠

たかじょう

鷹と心を通わせる、千年以上つづく日本の技

鷹匠は、鷹やハヤブサなどの猛禽類(もうきんるい)を飼いならして訓練し、鷹狩りにたずさわる人のことです。むかしは天皇や武士のたしなみでもありました。いまは、昔ながらの技を守りつたえる人たちが、公園や城あとで実演を見せてくれています。

遊べるゲーム:鷹匠修行 鷹とよびもどし訓練 メンバー限定
遊びのタイプ:育てる×タイミング
鷹の体重を整え、目を見て呼びもどし、ルアーを回して急降下をかわす。21日間の修行で、千年以上つづく鷹匠の信頼づくりを体験しよう。

▶ 「鷹匠修行 鷹とよびもどし訓練」で遊ぶ
くわしい解説を読む(鷹匠ってなに?・歴史・本物のやり方・豆知識)

鷹匠ってなに?

鷹匠(たかじょう)は、鷹やハヤブサを飼って訓練し、「鷹狩り(たかがり)」にたずさわる人です。鷹狩りとは、飼いならした鷹に、野鳥や小さな動物をとらえさせる狩りのことです。むかしは朝廷や将軍家、大名に仕える仕事で、江戸幕府や藩では役職の名前にもなっていました。

鷹はこちらの言うことをきく動物ではありません。空に放せば、そのまま飛んでいってしまうこともできます。それでも戻ってくるのは、鷹匠とのあいだに「信頼」ができているからです。この「信頼をつくる仕事」が、鷹匠のいちばん大切なところです。

鷹匠になるための国の試験はなく、流派などの民間の団体が、技をみとめる試験を行っていると紹介されています。

はじまりと歴史(由来)

鷹狩りがどこで始まったかは、はっきり決まっていません。中央アジアやモンゴル高原のあたりで、4000年以上前に始まったと考えられています。ユネスコも、鷹狩りは「4000年以上つづいている」と紹介しています。

日本では『日本書紀』に、仁徳天皇の時代に百舌鳥野(もずの)で鷹を放ち、キジをとらえたという記事があり、確かめられる最初の例とされています。このとき鷹を訓練したのは、百済(くだら)から来た酒君(さけのきみ)という人だったとされます。古墳時代の埴輪(はにわ)には、手に鷹をのせた姿のものもあります。

奈良・平安時代には、朝廷に鷹をあつかう役所(主鷹司・しゅようし)がおかれ、天皇や貴族のあいだでとても盛んになりました。嵯峨天皇は、鷹狩りの技を書いた本『新修鷹経』を、818年にまとめたとされています。

戦国時代から江戸時代には、織田信長や徳川家康をはじめ、武家にとても好まれました。家康は、体をきたえて健康にいい、戦いの指揮の練習になる、領地のようすが分かる、という良さをあげていたと言われます。

江戸時代には、将軍専用の鷹場がととのえられ、鷹匠や鳥見(とりみ)などの役職もおかれました。五代将軍・綱吉は、生き物をたいせつにする法令(生類憐みの令)で鷹狩りをしだいにやめさせましたが、八代将軍・吉宗の時代にふたたび盛んになりました。

明治になって鷹狩りは少なくなりましたが、宮内省(くないしょう。いまの宮内庁)のもとで鷹匠の技をつなごうとしました。いまは保存会などが、流派の技を受けついでいます。長野県の諏訪大社の神事から始まったとされる「諏訪流」が、公開の実演でよく知られています。

本物の鷹匠のやり方

  1. 鷹を人になれさせる。はじめは人をこわがるので、そばにいることに少しずつなれてもらい、左手にはめた革の手ぶくろ(ゆがけ)に止まらせる「据え(すえ)」を練習します。
  2. こまめに鷹の体重をはかる。体重は、鷹がどれだけおなかをすかせているか、どれだけやる気があるかをはかるものさしです。むかしの鷹書には、鷹を拳に据えたときの目方を、手の感覚でおぼえる大切さも書かれています。
  3. その鷹にちょうどいい「飛ぶ体重」に、えさの量でととのえる。おなかいっぱいだと、飛んで帰ってくる気がなくなって、逃げてしまったり、動かなくなったりしやすくなります。反対に軽くしすぎると、弱って危険です。だから、せまいちょうどいいはんいをさがします。
  4. 長いひもをつけて、呼びもどしの練習をする。外国の鷹匠は、細くて長いひも(クリーンス)を足につけ、鷹がまだ頼りにならない時期でも、安全に練習できるようにすると説明されています。
  5. ルアーを使う。獲物に見立てた道具を、ひもの先で頭の上に円をえがくように回して鷹を呼びよせ、いきおいよく追わせて運動をさせます。鷹がぎりぎりまで近づいたら、ルアーを引いてかわし、鷹はまた上がっていきます。さいごに鷹がルアーをつかむと、ごほうびのえさをもらえます。
  6. 戻ってきたら、かならずごほうびをあげる。「もどると、いいことがある」とおぼえてもらうのが、信頼づくりのコツです。

このゲームの遊び方

  1. 毎日の仕事は3つです。最終日だけは、観客の前での「実演」になります。
  2. ① 体重チェック:「えさ」を押して、鷹の体重を、メーターの緑のはんい(飛ぶ体重)に入れます。ふっくらふくらんで眠そうなら重すぎ、やせてぼんやりなら軽すぎのサインです。「むずかしい」では緑のはんいが見えないので、鷹のようすで見きわめます。
  3. ② よびもどし:止まり木の鷹がこちらを見て、目に光る輪がふれる一しゅんに「合図」を出すと、鷹が手にもどってきます。よそ見のときに合図すると、鷹は動かず、信頼が少し下がります。
  4. ③ ふりえ:指で円をえがいてルアーを回すと、鷹が興味をもち、急降下してきます。リングが小さくなるタイミングで「ひく」とかわせて(運動になり高得点)、「出す」と鷹にとらせられます。
  5. 鷹の「信頼」と「体力」の2つのゲージを見ながら21日間をすごし、最終日の実演で観客に見せましょう。風の強い日や、さむい朝は、少し工夫が必要です。キーボードでは、Spaceで合図、矢印でルアーを回せます。

知るともっと楽しい豆知識

  • ワシとタカは、どちらも同じタカのなかま(タカ科)で、名前だけではきれいに分けられません。ふつうは、大きな種類をワシ、中くらい〜小さめの種類をタカと呼びますが、例外もあります。たとえばクマタカは体長70cm以上にもなるのに「タカ」、カンムリワシは50〜60cmほどでも「ワシ」と呼ばれます。
  • オオタカは、自分より大きな鶴やキジもとらえられるため、16世紀ごろから鷹狩りに使われるようになり、江戸時代の中ごろには盛んに行われたとされています。ハヤブサは、急降下のときに時速300kmほどにもなる、鳥でいちばん速い鳥とされています。
  • 鷹は犬を見るとおびえて、飛べなくなることがあります。公開の実演では、犬をつれての見学は遠慮してほしいと、案内されています。
  • 戦国時代の武将・朝倉教景(あさくらのりかげ)は、庭で鷹を卵から育てることに成功したという記録があります。わかっている中では世界でもっとも古い成功例とされると、紹介されています。
  • 江戸時代のはじめごろ、鷹一羽(一据え)が10両ほどで取引されたという説明があります。のちには20〜30両にあがったとされ、鷹がそれほど大切にされていた証拠ですね。
  • 鷹狩りは、2010年に「ユネスコの無形文化遺産」に登録されました。そのときは11か国でしたが、追加を重ねて、いまは24か国が名をつらねています。ただし、そのなかに日本は入っていません(ユネスコの一覧による)。それでも日本には、日本ならではの鷹狩りの伝統が、いまも受けつがれています。

ゲームにするときに変えたところ

ゲームの体重(グラム)の数字は、遊びやすいように作ったお話の数字で、本物の目安ではありません。本物の鷹匠は、鷹の種類や一羽ごとの性格、季節や天気を見ながら、時間をかけて慎重に体調を見ています。むやみに体重をへらすのは、鷹のためになりません。

21日で鷹がすっかりなれることは、現実にはほとんどありません。本物では、たとえば人の手で育てた若い鷹でも、およそ3か月ほど練習をつづけるという説明があります。呼びもどしの1回も、ゲームでは数秒に短くしています。

狩りの場面は、ゲームには出していません。かわりに、呼びもどしとルアーという「訓練」の部分を、タイミングの遊びにしています。ルアーを回す道具の呼び名「振り餌(ふりえ)」も、ゲームの中でわかりやすいように、そう呼んでいます。

日本では、野生のオオタカを、学術研究などの場合を除いて捕まえることは禁止されています。ゲームの鷹はお話の中の鷹で、野生の鷹を捕まえて飼う遊びではありません。

見に行く・体験するには

鷹匠の実演は、年によって、各地の公園や城あとで公開されています。たとえば東京の浜離宮恩賜庭園は、むかし将軍家の御鷹場(おたかば)だった場所で、東京都の案内で放鷹術の実演が行われた年があります。石川県の金沢城公園や、長野県飯山市の飯山城址公園でも、諏訪流の実演が行われたことがあります。

開催日や内容は年によってかわり、雨や強風では中止になることもあります。出かける前に、各施設や自治体の最新の案内をたしかめましょう。見学のときは、犬はつれていかず、鷹には近づきすぎないのがマナーです。

用語ミニ辞典

鷹匠(たかじょう)
鷹を飼い、訓練して、鷹狩りにたずさわる人。江戸幕府や藩では役職の名前でもあった。
鷹狩り(たかがり)
飼いならした鷹やハヤブサに、野鳥や小さな動物をとらえさせる狩り。放鷹(ほうよう)ともいう。
放鷹術(ほうようじゅつ)
鷹を放って狩りをする技術。いまは、公開の実演で見られることが多い。
据え(すえ)
鷹を、鷹匠の左手(拳)に止まらせること。
ゆがけ
鷹を拳に止まらせるときに、左手にはめる革の手ぶくろ。弓を射る手ぶくろも同じ名前で呼ばれる。
飛ぶ体重
その鷹が、元気よく飛んで戻ってくる、ちょうどいい体重。英語では「フライング・ウェイト」。ゲームでは緑のはんい。
ルアー
獲物に見立て、ひもの先に付けた道具。回して鷹に追わせ、運動や呼びもどしの練習に使う。ゲームでは「振り餌」。
鷹場(たかば)
鷹狩りをするために決められた場所。江戸時代には将軍専用の鷹場もあった。
鳥見(とりみ)
鷹場をみまわって、野鳥のようすを調べた役職。
諏訪流(すわりゅう)
長野県の諏訪大社の神事から始まったとされる、鷹術の流派。いまも保存会が技を伝えている。

参考にした資料

※ゲームでは遊びやすくするため、本物とちがう所があります。

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